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築80年の古民家で自給自足…料理家が知った「食材不足の季節」を乗り切る方法

 熊本・南阿蘇の地で、家族とともに豊かな暮らしを送る料理家のかるべけいこさん。窓からの阿蘇山の美しい姿を眺めながら、四季を感じるこの場所で、収穫した野菜をベースに、その日の体が欲する食事をつくります。
土間にいる女性

古民家で暮らすかるべけいこさんの土間のある台所。北向きで、夏は北風が通って涼しいそう。左下が茶炒り釡で、直径1mはある。まんなかのかまどは現役で活躍中

(この記事は、別冊天然生活『暮らしを育てる台所2』より一部を抜粋し、再編集しています)

五感で季節を、肌で気温を感じる、土間のある台所

窓からの風景

一面が窓なので、天気が一目瞭然。「気分がいいですし、昼間は照明いらずで、食材の色や焼け具合などもよくわかります」 

「朝6時から晩ごはんが終わるまで、一日の大半を過ごす台所は、私の部屋だと思っています」と語るのは、熊本・南阿蘇で写真家の夫と高校3年生の娘と暮らすかるべけいこさん。自給自足をしたいと福岡から移住してきたのは30年前です。
土間にいる女性

集落で管理する原木を使い、自家栽培したしいたけ。「どんどん育つので、いつも料理に追われます」

 もともと「普通じゃないほうが好き」で、当時でさえ珍しかった土間にかまどのある家は、いまでは築80年に。かまどでのごはん炊きは最初から失敗知らずで、鍋で炊くより早く、おこげのつき方もいい塩梅です。 ご飯 土間は畑で採れた野菜を泥付きのまま持ち込めるおおらかさがあり、かるべさんにとっては好都合。夫の野中さんがほうれんそうから始めた畑は少しずつ種類が増え、米や麦と合わせて、食べたいものは何でも植えるようになりました。

自然栽培で育てた野菜は、保存食にも

野菜

カメラマンで夫の野中さんが、畑で育て収穫した野菜。農薬や化学肥料を使わない自然栽培を選択

 食べきれないほど採れた野菜は、台所にこもり、せっせと保存食に。たとえばコンテナいっぱいの大根で切り干し大根をつくり終えたときの達成感は、思わず「よしっ」と声が出るほど。
たい肥

葉野菜の外葉や卵の殻などは、生ごみ処理容器に。米ぬかも入れて、生ごみのぬか漬けのような状態にし、菌糸で真っ白になったら畑に還して堆肥に

「冬は種をまけないため、3月から5月は食材が不足しがちで、保存食に助けられています。保存食をつくっているときは、お金ではないのだけれど、貯金している気分になるんですよ。現金も必要ですが、何より食べるものがあれば大丈夫と安心できます」
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熊本地震では……
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