独占取材は「一番伝わる」=イエスマンのみで異なる意見は排除
④<自分の言葉を待ってくれている人たちに一番伝わるであろうやり方を選ぼう。そう考えたのが今回の取材だったんです。>

松本人志『定本・一人ごっつ』ロッキング・オン
これは、イエスマン以外は介在させないとカッコよく言っただけです。
松本人志的な笑いにも通じることですが、異なる意見を持つ他者が存在しないのですね。そうした異分子を排除することで、独自の価値観を構築してきたわけです。その濃密なカルチャーは熱狂的なフォロワーを生んだと同時に、暴走した際のストッパーを失う原因にもなりました。文春が報道した内容の一端も、そこにあるのだと思います。
ポジティブな気分を表現しているように見えますが、結局本質は何も変わっていないことをまざまざと見せつける発言だと言えるでしょう。
⑤<言葉狩り的に、ちょっと何かを言ったら炎上させられる。そもそも僕らなんて人と違うことを言う仕事なのに、今は「人と違うことを言うな!」と怒られる。(中略)本当におかしなことになっています。>
これはふたつの意味で間違っています。
まず、『ワイドナショー』などで物議を醸した松本の発言の多くは、単純に認識が稚拙(ちせつ)であるとか、そもそもそのトピックを語るだけの情報や知識を持っていないことを指摘されていました。

(画像:松本人志出演時の『ワイドナショー』公式サイトより)
そして、そのうえで松本の“過激”とされた発言も、「人と違う」というほどのユニークな視点ではなく、単に不勉強にあぐらをかいた暴論であることを視聴者が見抜いていたから「炎上させられ」ただけなのです。
とすると、この程度の認識で現在のテレビを嘆き、だから新しい笑いを独自のプラットフォームで展開するのだと意気込む松本人志が少し心配になってきます。
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以上、今回のインタビューを読んだ筆者の率直な感想です。
久々に松本人志の言葉に触れて、皆さんはどう感じたでしょうか?
<文/石黒隆之>
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter:
@TakayukiIshigu4