――では、最後にもう一つだけ。これは丹波さんへの個人的な質問になりますが、もしも自身やご家族が私と同じような立場になった時、どの様な行動を起こすと思いますか?

「………………もちづきさんと同じことをしたと思います」
――ありがとうございました。
この記事を書かせていただけたこと、インタビューにも応じていただけたこと、これについてTOKYO MXさんには感謝の気持ちしかありません。ただ、それでもどうしたって未だに燻(くすぶ)っているものはあるのです。
インタビュー中に質問をしてもなお、心に沈殿しているもの。それは、「
私が声をあげなかったら、どうなっていたの?」への回答です。
書面での報告書の中に、こんな一文がありました。
「
A(ディレクター)は読み原稿と合っていないことに気づいて次のカットにチェンジの指示をしたが、結果として8秒間露出されてしまった」
つまりこれは、放送中に違和感以上の「過ち」に現場が気付いていたということ。だとしても、私サイドからの連絡がなければ、この件は完全にスルーされていたのでしょう。
「『5時に夢中!』で、もちづき千代子が木嶋佳苗死刑囚と誤認されちゃうかもしれない放送をされちゃった件」につきましては、これにて終幕となります。
しかし今、メディアに関わる人のすべてに伝えたい。自分たちが情報の発信者というとても怖い立場に身を置いている現実を。そして、その隅っこに身を置く端くれの弱小ライターであっても、常にその危機感には晒(さら)されている自覚を。
今回のことは私自身こそ、身を引き締めねばならない立ち位置であると再確認した一件にもなりました。
<文/もちづき千代子 写真/星亘>
もちづき千代子
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:
@kyan__tama