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大河ドラマ『べらぼう』の“残酷すぎるシーン”に「NHKファンは驚かない」ワケ。攻めすぎた表現と話題だけれど

攻めのキャスティングでヒットドラマに

 表現やテーマ、制作方法など挑戦的な姿勢を近年のNHKのドラマからは感じられる中、攻めのキャスティングも目立つ。
『宙わたる教室』

原作は伊与原 新の小説『宙わたる教室』(文藝春秋)

 2024年のヒットドラマ『宙(そら)わたる教室』では、主人公の教師は窪田正孝が務めたが、主要キャストである生徒の小林虎之介や伊東蒼らはドラマ通からは知られているものの、一般的な知名度が高い役者ではない。嫌な言い方をすれば、キラキラしたキャスト陣とは言い難い。しかし、いずれの役者もまさにハマり役と言えるほどの好演を見せ、ドラマの魅力を最大限に引き上げていた。  NHKは視聴率やスポンサーの意向などに、民放ドラマほど気を使う必要がない。だからこそ、攻めた、もとい適した座組にできることもNHKの強みである。その強みが近年顕著に見られ、結果的により良い作品の連発につながっているように思う。

“何も起こらないドラマ”が話題に

 NHK BS、NHK BSプレミアム4Kではあるが、2024年9月から放送された『団地のふたり』も別の意味での攻めっ気を感じた。本作は団地で生活する野枝(小泉今日子)と奈津子(小林聡美)をメインとしたホームドラマ。殺人も復讐も不倫も心理戦もなく、登場人物による日常の延長線上にあるドタバタが繰り広げられるのみ。考察ブームの昨今、一切“SNS映え”しない内容ではあるが、その緩やかな雰囲気が多くの視聴者を虜にした。  SNSの反響率が重要視される傾向は年々高まっている中、“ほぼ何も起こらないドラマ”を放送できることはすごい。そして、話題作にしてしまっているのだからなおさらすごい。それもこれもNHKの攻めの姿勢が大きい。『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』をはじめ、2025年もNHKの攻めたドラマに期待したい。 <文/望月悠木>
望月悠木
フリーライター。社会問題やエンタメ、グルメなど幅広い記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。X(旧Twitter):@mochizukiyuuki
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