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看取り方は正しかったのか?と職場で涙、有休をもらい…当事者が語る“ペットロスの痛み”

一か八かにかけるか、安定した余生を過ごすか?

なっちゃん

何としても助けたかった命

 お金なら払うから、助けてほしい――。飼い主さんがそう訴えると、先生から考えさせられる助言を受けたそう。 「手術が成功すれば長生きできるかもしれないけれど、もしかしたら短いかもしれないし、手術中に死ぬ可能性もある。  自分がおじいさんだったら、残された時間を大切にするのか、手術を受けるのか。どっちがいい?」  そう言われ、飼い主さんはなっちゃんを泣く泣く緩和ケアしながら看取ることに。なっちゃんは亡くなる直前までキャットタワーに自力で登るなど、ニャン生を謳歌してくれました。 「最期はお気に入りだったキャットタワーの2段目で、痙攣しながら胃液を吐きました。正直、もっと早くセカンドオピニオンを受けていれば助かった可能性はあったかもしれません」

選んだ看取り方が正しかったのかと自問自答する日々

なっちゃん

火葬後にはお骨になったなっちゃんと出会った場所へドライブ

 一緒にいることが当たり前だった愛猫を失った後、飼い主さんは深刻なペットロスに。泣きながら仕事をこなすも、業務中にミス。店長は、3日間の有給休暇を取らせてくれました。  何が正しい判断だったのか。他にできることはなかったのか……。そんな疑問や後悔は、今も心から消えることはありません。 「なっちゃんの仏壇には今でも毎日必ず、『おはよう』や『ただいま』、『仕事行ってくるね』、『おやすみ』と言っています。お気に入りだったペンギンのぬいぐるみには、まだ匂いが残っています」
なっちゃん

自作の仏壇

 大切な家族を失った痛みは、「ペットロス」という言葉では片付けられないほど深刻なもの。  動物を亡くした悲しみはまだまだ軽視されやすいものですが、当事者の声を聞くと、小さな家族であっても弔う時間を持てる社会であってほしいと願いたくなります。
なっちゃん

会いたい気持ちが募る

「SNSのフォロワーさんからはお悔やみの品や花代をいただき、なっちゃんがたくさんの方に愛されていたことをあらためて知りました」  最期まで猫らしく生き、家族を愛したなっちゃん。その体は隣にいなくとも、飼い主さんにとっては、いつまでもかけがえのない愛猫です。 <取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291
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