「オレの“イス”はないんだろうなと…」31歳俳優が明かす迷える1年。『地面師』で話題も
話題作『地面師たち』で知名度が上がったが……
――2024年は、出演されたNetflixドラマ『地面師たち』も大きな話題になり、充実した一年だったのではないでしょうか?
吉村:街を歩いていて「地面師に出ている人!」と言われはしました。たまに名前で呼んでくださる人もいたり、でも、僕の実力じゃないし、僕があそこまで持って行ったわけでもない。綾野剛さん、大根仁監督、原作者、スタッフの方たちが舵をとっていた『地面師たち』という船に、自分もただ乗せていただいただけで。僕は同世代がたくさんいる中で、自分のポジションは自分で用意しないといけないのかなと思っていますし。
――と、言いますと?
吉村:自分が座るイスは、自分で持ってこないといけない感じです。どこを見てもすでに誰かが座っているので、オレはどこに座ればいいのかということを考えていた一年だった。で、そのイスはないんだろうなということを実感した。そんな一年でした。
――それで自分で何とかしないといけないと。
吉村:なので誰も行きたくないポジション、苦手なポジションに自分は行っている気がするなと。行きたくないというか、誰も近づきたくないようなポジションがあるのだとしたら、そこに自分は向かっているのかなと。それがイスっていえばイスなのかもしれないですが。
先輩・柳楽優弥から「英語やってるか?」
――2025年は、そんな現状を変えたい!?
吉村:あるがままに行くしかないよなと思います。誰かが持っているものをうらやむような人間にはなりたくないんですよね。もともとそういうことはあまり得意じゃないので、だったらもうやるしかないなと。英会話も1ミリずつって感じで全然上達してないですが、やっています。殺陣も週1で習っていて。1ミリずつ、全部を1ミリずつやっている感じです。
――英会話や殺陣などを始めたきっかけは何でしたか?
吉村:英会話は、2年前くらいですかね。あまりきっかけは覚えていないのですが、始めました。よくしてもらっている先輩の柳楽優弥さんがメッセージをくれるんですよ。「英語やってるか?」「このテキストを買え」と連絡をくださる。それから「やんないといけないすよね」みたいな会話を経て、しばらくしたら「やった?」ってポンとメッセージが来た。そのしばらく後にご飯一緒に行って「やってないの?」って本気の目だったので、もうやるしかないんだなって思いました(苦笑)。そういうまわりの影響もありました。
――いい関係性ですね。30代は、どのように過ごしたいですか?
吉村:それこそ『地面師たち』の大根仁監督と一度だけご飯に行ったのですが、大根監督が僕に「たぶん吉村君、今後金髪にしてガーッ!みたいな役が増えると思うけれど、断らずにやってよ」って。「嫌だろうけれど、そのほうが絶対いいと思う」って言ってくださった。自分としては広告のお仕事がいただけるような清潔感のある役がやりたいな(笑)と思いながらも、でもまあそれはのちのち頑張ればいいのかなと最近思っています。
――自分のやりたいことはともかく、求められること、できることを。
吉村:そうですね、お金やものを優先させる俳優というよりは、このままいこうかなって感じです。でも、チャレンジもしていきたいですね。
<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
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