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「オレの“イス”はないんだろうなと…」31歳俳優が明かす迷える1年。『地面師』で話題も

 俳優の吉村界人さん(31歳)が、ボクシングロードムービー『Welcome Back』に、粗暴だがヒールとして人気の新人ボクサー・テル役で出演。彼を慕う純粋無垢なベン(三河悠冴)との関係などを、圧巻のファイトシーンとともに描いた骨太な一作です。
吉村界人さん

吉村界人さん

 吉村さんは、大きな話題になったNetflixドラマ『地面師たち』のホスト役としても最近注目を集め、俳優デビュー10年を経て、先輩俳優や監督からの助言や温かさに感謝していると言います。吉村さんの現在地、そして未来について聞きました。

「いい意味で時代遅れ」な役柄を演じて

『Welcome Back』より

『Welcome Back』より©2025 GunsRock

――演じられたボクサーの冴木輝彦(通称:テル)ですが、どのようなキャラクターだと受け止めましたか? 吉村界人(以下、吉村):彼は、今の時代に馴染めない人間だなと思いました。僕の中では合理的にやって勝ち負けのない世界が令和って感じがしているのですが、その時代にボクシングの勝ちや負けにこだわり続け、しかもいろいろな人を巻き込み、そしてそれが全部めちゃくちゃすぎるんです。 ――なるほど、確かにテルの生き方は今の時世で見た場合、あまり効率的とは言えないかもしれないですね。 吉村:今って、無駄を省くっていうか、いろんなものをメリット、デメリットで選ぶ時代で、本人がどうかというより、見てくれた人の反応を数値化して、「それがあなたの価値ですよ」という時代だなと思っています。でも、テルはそれとは真逆で「そんなの知らねえ」みたいな。それがいい意味で時代遅れだなって感じがしました。 ――そのテルに見る時代遅れ感、彼の生き様を演じてみて惹かれたところなどありましたか? 吉村:試合に負けたけれど負けてはいないということを、彼は思っていると理解しました。すごい才能で駆け上がっていたけれどボクシングの試合で負け、一度は辞めるものの、また挑戦していく。そういう“負けたけど負けていない精神”は響きましたね。

プライベートでボクシングジムに通い続けている

吉村界人さん――テルを追う純粋無垢な親友のベンを演じた三河悠冴さんとの共演はいかがでしたか? 吉村:三河のことは尊敬しています。同世代で素晴らしい俳優だなと思います。彼はインプット量がすごいんですよ。お芝居のことに限らず、音楽、映画、書籍、たくさんのことを教えてもらいました。博識で、あんな人間は同世代にあまりいないと思う。それに、人のいいところを探すのが得意なんです。僕はすぐ「あれは、なんとかかんとかだ」と口に出しちゃうけれど、三河はまったく違いますね。 ――撮影のためにボクシングを始めて、今でもボクシングジムに行かれているそうですね。 吉村:そうですね。行く前って緊張して心拍数が100以上になるんです。ヘッドギアを付けてはいますが、明らかに僕よりも経験値が高い方が多いところへ、ブン殴られることをわかって行くわけです。終わったあとは立てないくらいになります。中学の頃、先輩に呼び出されて今からブン殴られるんだろうなっていう緊張感とでも言うのか(苦笑)、この緊張感が毎日あると楽しいんです。 ――本作の撮影は29歳当時だとすると、3年間くらい続いているわけですね。 吉村:そうですね。誰だってただ殴られたくはないじゃないですか(笑)。でも、そこへ行ってトレーニングをするということが、僕には合っていました。家でスマホをいじっているよりも楽しいんです。あとは俳優という仕事へのモチベーションにもつながっています。
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話題作『地面師たち』で知名度が上がったが……
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