――としにゃんさんの普段のご職業は造形関係ですか?
としにゃん:いえいえ。本当に一般的な会社員でして、造形とかとは全然関係ない仕事です。
――そうだったんですか! ところで、どんなふうに雪だるまを製作しているのでしょう?
としにゃん:雪って、しっかり固めておかないと形を作れないんです。だから、まずはホームセンターに売っている漬け物桶に雪を詰め、固めて、その塊を数段重ねて土台にします。その上に雪を盛っていき、スコップを叩きつけたり削ったりしながらイメージの形へ近づけていきます。園芸用の小さいスコップとか筆の持つ部分、変わったものだとパン切り包丁を使って、削ったり掘ったりの細かい作業をするときもありますよ。
――パン切り包丁も使うんですか!
としにゃん:あと、「溶かす」という作業をすることもあります。はんだごてを使って線を引くイメージですね。「削る」だけだと、雪は結構崩れちゃうんです。だから、溶かしつつ表情をつけるというか。特に、目の部分は細かいので「削る」だけでは厳しいんです。
――はんだごてまで……。たしかに、自然に溶けたらまずいですよね。
としにゃん:そうですね。でも、日差しが強かったり気温が高いとつくっている矢先に溶けちゃうんです。そうなると、もう形もでき上がらなくて。今月、『ハウルの動く城』に出てくる「荒地の魔女」をつくったのですが、この雪だるまは夏に砂浜に立てるパラソルで日を避けながらつくりました。傍から見たら「あの人、何やってんだ?」って思われたでしょうね(笑)。

『ハウルの動く城』に出てくる「荒地の魔女」
――そのような作業を経て、作品が一つ完成するまでにどのくらいの時間がかかるのでしょう?
としにゃん:「荒地の魔女」は2~3日に分けて作業し、トータルで5~6時間ぐらいかかりました。ものの大きさにもよりますが、だいたいそんな感じです。
――10年の製作歴のなかで、雪だるまをつくるのはやはり慣れていきましたか?
としにゃん:そうですね。最初はひたすら雪を積み上げてスコップでつくっていたのですが、次第に土台からつくっていくことを覚えました。丸い形をつくるときは手だけでは難しいので、食器やボウルに雪を詰めて調理器具の型をそのまま流用することもあります。ホームセンターや100円ショップを回り、「これは使えそうだな」というのを物色したり(笑)。
そういうやり方にたどり着くまでは、長い時間がかかりました。いろいろ試行錯誤していてると経験則が増え、役に立っていくんです。
――先ほど伺ったパン切り包丁や漬物桶の活用も、経験を重ねて習得した技術なんですね。