
「でもね、車の鍵はいつも開けてあげているの。真冬はさすがに寒いから、車の中に毛布を用意しているのよ」
お隣の奥さんは、いかにも “私は優しい”と言わんばかりに、ドヤ顔で言ったそうです。
「うちは夫がお酒を飲まないので、夜中に帰宅することはないですが、逆に私は深夜回ってから帰宅することが度々あるので……。話を聞いた時、お隣の奥さんに恐怖を感じてしまいました」
それからというもの、愛さんは深夜に帰宅する度に、お隣の車を確認するそうです。
そして車の中の足をみかけた時には、お隣の旦那さんに同情しながら自宅の玄関の鍵を開けています。
「家に入れないお隣の旦那さんに、心の中で『ごめんなさいね』と言いながら、静かに自宅の鍵を開けています。
夫婦で話し合って決めたルールなので私が口出しすることではないですが、なんせ私も飲んで遅くなることが結構あるので……。つい、同情してしまいますね」
そう言って、苦笑いをした愛さんでした。
<取材・文/maki>