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うつで退職した娘を「甘えだ」と突っぱねる母親。食事を残した娘に“まさかのひと言”

毎日「障がい者のふりなんてやめたら?」

 障害者雇用で求人を見つけた茜さんは、ある企業で総務のアシスタントとして働き始めました。仕事内容は清掃や発注、機材メンテナンス等です。この時茜さんは29歳でした。  母親からは毎日「障がい者のふりなんてやめたら?」「仕事辞める日決めた?」などと言われます。  当時の茜さんは、1日6時間勤務で月の手取りは15万円ほどでした。そのことについても「低収入。下流の仕事だ」と非難するのです。母親から離れるために家を出たいと思っても、この収入では一人暮らしは困難です。  茜さんの職場には「そのアイシャドウかわいいね」「今日の服似合う」と些細なことを褒めてくれる上司がいました。同僚も優しく仕事を認めてくれて、居心地がよかったそうです。そんな環境で、徐々に自分のことを考える余裕が出てきました。  茜さんは同じ境遇の人とつながれる場がないかと思い始め、調べるうちに発達障害の人が集まるカフェがあることを知ります。何度か通って情報交換をする中で、障がい者向けのマッチングアプリ「IRODORI(イロドリ)」の存在を知ります。

「私は一人じゃない」と思うことができた

 過去にもPairs(ペアーズ)というマッチングアプリ使ったことがあったそうですが、当時の茜さんはフリーターをしながら教員採用試験を受けている状況でした。マッチした同年代の相手は大抵社員として働いており、釣り合いが取れなくて形見が狭いと感じた彼女は、恋人ができる前に退会しました。  マッチングアプリで知り合えたとしても、発達障害であることを相手に打ち明けて、理解してもらえるか不安がありました。
茜さんのデート中の写真(本人提供)

茜さんのデート中の写真(本人提供)

 IRODORIの登録時には身分証の他に、障害者手帳かお薬手帳の申請が必要です。恋人作り限らず、仲間や友達作り目的で利用できるのも特徴的で、同性同士のマッチング機能や雑談でつながる音声ライブ配信機能もありました。  茜さんは友達もできそうなことに惹かれて登録しました。音声ライブで「ADHDです」と言えば「私もだよ」と反応が返ってきて、「一人じゃない」と思えたそうです。
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障がいを理解し合える彼氏ができた
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