父の不倫相手にテレサ・テン「愛人」を歌う小学生女児、その切ない理由とは?
美緒さんの母は新興宗教に加え、マルチ商法にも手を出していたという。
それぞれの選択に、母なりの理由はあったのだろう。しかし、手をかけているように見える自然食で栄養不足にさせてしまったり、「幸せになるため」の新興宗教によって、子どもを悲しませたりと、アンバランスさが目立つ。
美緒さんはたびたび「おかん、どれだけ隙があったんや」とぼやくが、歪みと比例した大きさの心の穴があったのではないだろうか。夫の家庭への無関心も、関係ないとは言えないだろう。
そして、ここまでたくましくならざるをえなかった子どもの境遇が、切ない。
これを「たくましい子ども」「生活力」「けがの功名」といったような美談にしてはいけない。親の沼深さの、しわ寄せなのだから。
給食をもらい、菓子を楽しみ、助け合って育った姉妹はその後、無事大人になった。現在美緒さんは、高校生の子どもを持つワーママだ。
すると予想外に、「家族が自然派」の第2章がはじまった。
子どもが小学校にあがると、夫が転職して整体師となり、これまた母のような自然派となったのだ。
「だんだんこだわりが増えてきて、夫はしまいに私が作る食事を食べなくなってねえ。
でも、もともと生活スタイルも全然違うし、財布も別だったから、いまのところ大きな支障はなく、娘とふたりで生ぬる~く見守ってますわ」
最近の夫は、SNSで広まっているデマである「農薬で発達障害になる」という言説を信じ、野菜の購入先などを過剰に気にするようになってきたのが、美緒さん親子の困りごとだ。

美談にはしたくない

思いがけない夫の異変

自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。「女子SPA!」のお問い合わせフォームより、題名に「沼の話」と入れて、ぜひお気軽にご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。