
そのアプリとは、好みのAIを選んで、いかがわしいチャットができるという仕組みのもの。
ちょうどそのころ、夫婦間では半年ほどご無沙汰だったため、結衣さんは自分がAIに負けたような悲しみを抱いてしまったそうです。
「相手はAIとはいえ、私には不倫と同じように思えて嫌でした。だから、お風呂から出た夫にアプリを見たことを伝え、やめてほしいと言ったんです」
しかし、太一さんは「俺にとっては、趣味のひとつ。不倫をしているわけじゃないのに、そこまで禁止される理由が分からない」とキッパリ却下。
「結衣だって、韓国のイケメン俳優にキャーキャー言ってるじゃん。それと同じことだよ」と言われてしまいます。
「私はイケメン俳優を性的な目線で見ていないと反論しても理解してくれず、結局アプリは消してくれませんでした」
その後、夫婦間の“レス”は解消されたものの、行為中の結衣さんの頭には、夫がAIと行っていたチャットのやりとりが浮かぶようになってしまいます。
「AI相手と私では、夫がかける言葉が全然違う。本当はAIと話していたようなことがしたいのかも……と、モヤモヤするようになってしまいました」
また、以前はまったく気にならなかったにもかかわらず、AI騒動以来は夫が自室で過ごすたびに「また、あのアプリで興奮してるんじゃないだろうか」と、胸がドキドキするようになってしまったそう。
「AIに興奮している夫が気持ち悪いのもありますが、私はきっと不安なんだと思います。そのうちよりリアルなやりとりを求めて、ライブ配信チャットといった、生身の人間が存在するコンテンツにまで興味を持ってしまうんじゃないかなど、悪い妄想が広がって……」
離婚するほど嫌いになったわけではないからこそ、AIへの嫌悪感をどう処理すればいいのかわからない――。そう話す結衣さんは、今も感情を整理する方法を見つけられずにいます。
AIとのチャットは単に大人向けゲームの延長か、あるいは不倫たりえるのか? すでに幕を開けたこのAI時代。それによって、続々と新しい夫婦問題が出てきてしまうのでしょうか。
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<取材・文/古川諭香>
古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291