できるだけ負担をかけずに保護したい。そう考えた飼い主さんは捕獲器を使わず、“おうちでご飯食べていたら家猫になっていた作戦”を決行しました。
「庭に面した窓を猫が通れる隙間だけ開けて、24時間自由に出入りができるようにしつつ、ご飯を家の中で食べられるようにしたんです。その間、先住猫たちには2階で生活してもらいました」
飼い主さんは茶々丸さんも、この作戦で保護することに。あんこちゃんと茶々丸さんは、比較的早く人馴れしてくれました。

おうちでご飯チャレンジ中
「あんこはすぐに家でご飯を食べてくれ、日中も時々遊びに来ては居間でまったり。私は監視カメラで姿を確認しては、ニンマリしていました。手を伸ばすと逃げましたが、調子がいいと挨拶代わりに身体を擦りつけてくれるようになったんです」
しかし、対照的にあんこちゃんの兄妹はなかなか慣れてくれません。それでも飼い主さんは4匹まとめての保護をしたいと思い、おうちご飯作戦を続けました。
1週間ほど経ったころ、飼い主さんは窓が閉まった状況に慣らしたいと思い、あんこちゃんと茶々丸さんが家の中でご飯を食べている時に窓を閉めたそう。すると、あんこちゃんは大鳴きしてしまいました。

「このまま外に出したら2度と帰ってこないかもしれないと思うほどだったので、そのまま2匹には家猫になってもらいました」
お迎え当初、あんこちゃんはやはり大暴れ。窓の隅を引っ掻きながら大鳴きするため、飼い主さんは可哀想なことをしているのでは……と心が折れそうにもなりました。
「幸せを倍返しするから」。そう気を引き締め、あんこちゃんと向き合っていると、お迎えから1週間ほど経つ頃には落ち着いてくれたそう。あんこちゃんは一緒に保護した茶々丸さんを慕い、家猫ライフを楽しむようになりました。

家猫デビューから1週間後
「起床後の日課は、茶々丸を探すこと。寝る時には横に行き、茶々丸に毛づくろいして貰います。茶々丸がいたから、保護後の不安定な時期も乗り越えられたのでしょうね」
やがて、兄妹猫ともおうちで合流ができました。
残念ながら、兄妹猫のマルコちゃんは病気で逝去してしまいましたが、生き残った兄弟猫のマルオくんとは鼻先タッチで挨拶したり、一緒に寝たりと心地よい距離感で交流しています。

なお、あんこちゃんは先住猫たちとも喧嘩をせず、同じ空間で過ごせています。ただし、もっとも小柄で軽量なのに、一番勝ち気な性格の持ち主でもあるため、先住猫たちがタジタジになる場面もあるのだとか(!)。

先住猫たちと日向ぼっこ
そうしたやんちゃな姿が見られるのも、命があってこそ。
飼い主さんは保護前、一緒に生活できない病気があったらどうするのか、そもそも外の子にとって狭い家での生活は本当に幸せなのかなど、悩みに悩みぬいてから保護を決断しています。
だからこそ、空調の効いた部屋でのんびり日向ぼっこを楽しむあんこちゃんを見るたびに湧く、感慨深い気持ちもひとしおです。

大好きな茶々丸さんと
「今も厳しい環境下で辛い思いをしながら生活している子がいるのだと思うと、幸せな猫生であることを祈りたくなります。すべての外猫を保護することは不可能ですが、手の届く範囲で保護をしながら、ずっと暮らせるお家探しを手伝いたいです」

リビングでへそ天する、あんこちゃん
家猫になり、ボール遊びの楽しさも知ったあんこちゃん。そのニャン生がこれからも豊かなものでありますように。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】古川諭香
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:
@yunc24291