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35歳俳優の“ヘアスタイル”がどうしても気になってしまうワケ。デビュー当初、大ヒット朝ドラ、最新作までの変遷をたどる

今風のヘアスタイルが異質だった朝ドラ

 さらに近年の作品で岡田のヘアスタイルが話題になったのが、伊藤沙莉主演の朝ドラ『虎に翼』(NHK総合、2024年)である。伊藤演じる主人公・佐田寅子の伴侶になる同僚判事・星航一役を演じた。  槙野と同じように同僚役という共通点はあるけれど、肝心のヘアスタイルは全然類似していない。『昭和元禄落語心中』よりさらに前の戦後の時代設定にもかかわらず、航一役の岡田の髪型が2010年代に流行したショートマッシュ風であり、時代考証としておかしいのではないかと話題を集めた。  確かに裁判官という硬派な職種だし、時代も時代だから、槙野役よりさらに分け目くっきりでもよかったかもしれない。なのに、毛先ぼさぼさ。しかも程よいマッシュ感。今風のヘアスタイルが異質だと、少なからず視聴者の目には映ったのである。

くせ者感を明確化するスタイリング

 でもそれは、コミュニケーションなどが独特な空気感の航一の風変わりな人物像を浮き彫りにするためのあえてのスタイリング演出だったと思う。  第18週第90回で航一の頭上に美しい雪粒が結晶化したのは、マッシュの毛先がぼさぼさだったからでもある。同様に、槙野役もまたかなりくせが強いキャラクター性を明確化するビジュアライズだと考えられる。  御上は槙野が自分を裏切って出世したと思っている。同期からの批判の眼差しをうまくかわしながら、時折どうしてわかってくれないものかとモヤモヤした表情を浮かべる。それがどこか機械的な感じもする。  第2話で槙野が販売機からコーヒーが出るのを待つ場面がある。販売機の扉が開き、閉まる。その間、岡田の手元にピントは合っていない。扉の開閉がやたら目を引くのだ。ロボット的な槙野性質をこの開閉する機械がたとえているのだろうか。  序盤からやたら怪しげな雰囲気を醸し、ネット上では、敵か味方かと考察が盛り上がっている。くせ強(つよ)、くせ者、怪しげキャラの供給源そのものが不思議な分け目にあるのかもしれない。スタイリングの細部ひとつで、ああだこうだ考えさせてくれる岡田将生のヘアスタイル変遷は、奥深いものである。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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