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世界の普及率は21%、日本では3% …生理の改善に避妊リング「ミレーナ」という選択肢はアリ?【医師監修】

日本でのミレーナの普及率はわずか3%

――最初の医師は薬物療法や手術ではなくミレーナの装着を勧められましたが、これも珍しいように感じます。 宮本先生:ピル同様、ミレーナも日本は全然普及していないんですよね。内膜症など使うことで進行を防ぐことができる病気もあるので、普及させることに産婦人科医たちは一生懸命なのですが…。ミレーナの普及率は世界的には21%である一方、日本ではわずか3%(ピルは2.9%)です。 女性の月経にまつわる症状で仕事を休んだり効率が落ちたりして、年間4911億円もの労働損失が出ています。月経とは排卵した後に妊娠しなかった場合に女性ホルモンで厚くなった子宮の内膜が剥がれ落ちて血液として出てくるのですが、排卵は妊娠したい時以外は必要ありません。 子宮筋腫とミレーナ後編月経の回数が昔の人は50回程度(初潮が遅く、閉経が早く、妊娠出産回数が多いため)だったのが現代では500回ほどあり、その影響で子宮内膜症や子宮体がんなど、昔より増えている病気もあります。 妊娠したい時以外も現代の女性は望まない妊娠のリスクを背負いながら毎月月経に振り回され、エストロゲンに関連した病気のリスクもあげながら、仕事や勉学に支障が出ているのは合理的ではありません。ミレーナはピルと違って血栓症のリスクも増えませんし喫煙者や幅広い年代の方が使えますし、ピルのように飲み忘れもなく、経済的なんです。

メリットとデメリットを見比べて選択を

――なるほど…。ミレーナにデメリットはないのでしょうか。 宮本先生:デメリットとしては以下のようなものがあります。 【1】初期の不快感や痛み:挿入時や挿入後しばらくの間、痛みや不快感がある場合があります。 【2】不正出血:挿入初期には不正出血が続くことがありますが、通常は数か月で落ち着きます。 【3】感染リスクの増加:挿入時にまれに骨盤内感染症のリスクが上がる可能性があります。 【4】異常位置のリスク:ミレーナがずれたり、自然に排出されたりするリスクがごくわずかにあります。 子宮筋腫とミレーナ後編――メリット面はいかがでしょうか? 【1】高い避妊効果:妊娠予防の効果が非常に高く、適切に使用すると99%以上の避妊効果が期待できます。ピルより僅かに高いです。 【2】長期効果:一度挿入すると、約5年間の避妊が可能で、メンテナンスも少なく済みます。コスパがいいです。 【3】月経量の減少:ミレーナは黄体ホルモン(レボノルゲストレル)を放出するため、月経量が少なくなり、月経痛が軽減されることもあります。一部の人では月経が来なくなることも。とても快適です。 【4】避妊効果が速やかに戻る:ミレーナを取り外した後は、すぐに妊娠可能な状態に戻ります。 【5】便利さ:ピルのように毎日服用する必要がないため、忙しい人にとって便利です。 【6】幅広い年代:血栓症のリスクが上がらないため、喫煙者や40代以上の女性でも使いやすい。 メリットとデメリットを見比べて、ご自身にあった選択をしてください。多くの場合は女性のQOLを向上し、社会進出や日常生活を快適に送る手助けになるものだと考えています。 ――ありがとうございました! <文/志賀むつみ>
志賀むつみ
フリーランス編集者・ライター。コミック系出版社の編集を経てフリーに。現在はWEBメディアを中心に女性向けライフスタイルやエンタメなど幅広いジャンルで活動中。「動物愛護社会化検定 基礎級」取得
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