新ドラマ『夫よ、死んでくれないか』はタイトル詐欺? “モラ夫・不倫夫・束縛夫”が「ポケモンみたい」と思うワケ
4月7日からスタートした新ドラマ『夫よ、死んでくれないか』(テレ東系、月曜よる11時6分~)。本作は丸山正樹氏の同名小説を原作としている。これまで『私の夫は冷凍庫に眠っている』、『夫を社会的に抹殺する5つの方法』、『夫の家庭を壊すまで』など、様々な“夫モノ”を手掛けてきたテレ東ではあるが、ついには夫の死を願う作品を制作した。
本作は、大手デベロッパー勤務の甲本麻矢(安達祐実)、フリーライターの加賀美璃子(相武紗季)、専業主婦の榊友里香(磯山さやか)の3人が主人公。大学の同級生ということに加え、それぞれ難ありの夫がいることも共通している。
まず麻矢の夫はIT企業に勤務する光博(竹財輝之助)。麻矢への関心が薄く、不倫をしていることが発覚する。璃子の夫は外資系コンサルに勤務する弘毅(高橋光臣)。璃子のスマホのGPSを常にチェックして監視している。友里香の夫は電機メーカーに勤務する哲也(塚本高史)。日常的に友里香に暴言を吐いている。
不倫夫、束縛夫、モラハラ夫と三者三様。タイプも攻撃パターンも全く異なり、ゲーム『ポケットモンスター』シリーズの“御三家”のようだ。
本作も従来の“復讐モノ”のように、妻たちによって夫たちに天誅が下されて“スカッと”して終わるのかもしれない。ただ、そんな“テンプレート”が常に頭に浮かんでいたにもかかわらず、1話は最後まであっという間に視聴できた。その要因として、どこか“自分事”として考えたくなる丁寧な作りだったことが挙げられる。
「麻矢は光博に不倫をされた」と聞けば光博を100%の悪者と考えてしまう。しかし、光博が麻矢への関心が薄れた背景には、麻矢が自身のキャリアを大切にしたいために子作りを先延ばしにしたことがある。
タイトルが衝撃的すぎるため、どれだけハチャメチャな展開が繰り広げられるのかと思いきや、かなり地に足のついた現実的な内容だった。ある意味“タイトル詐欺”な本作の見どころをまとめたい。
三者三様に攻撃してくる、ポケモン“御三家”のような夫
6人それぞれの立場を、自分事として考えたくなる
とはいえ、麻矢の勤務先が妊娠や出産を経験した女性へのフォロー体制が十分ではないため、麻矢としてもやむを得ない選択をしたに過ぎない。もちろん、不倫は麻矢にとっての裏切りであるが、その背景には社会構造の歪みがある。 「不倫夫に鉄槌を!」と煽るような展開ではなく、女性が置かれている切実な環境を示しているのは面白い。まだ1話しか放送されていないため甲本夫婦の事情しか覗けていないが、加賀美夫婦や榊夫婦にも何かしら事情があるのかもしれない。束縛夫やモラハラ夫になってしまった背景も丁寧に描かれることに期待したくなる。
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