
日本テレビ『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』公式ページより
というように、まだ本編では第1回冒頭場面数十秒しか今田は登場していないというのに、もうすでに視聴者を満足させるだけのきらめき要素を十分供給している。
このように今田美桜主演ドラマは、少ない情報量から早くも高評価が約束される特徴がある。今田の好感度が抜群だとかそういうことも加味されながら、一定のクオリティを担保する才能がある。
街が新卒者であふれる春ドラマにぴったりだった『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』(日本テレビ、2022、以下、『悪女』)でもそうだった。第1話冒頭、規格外の新人社員・田中麻理鈴(今田美桜)が入社式に走る足元を見ただけで、ワクワクする。
1992年に放送された石田ひかり主演作のリメイク作だった同作を令和のオフィス仕様にアップデートできたのも、今田美桜主演というだけで一定のクオリティがあらかじめ担保されていたからだと思う。

日テレ『花咲舞が黙ってない』公式ページより
『悪女』の主人公である麻理鈴が、規格外の新人社員といわれたのは、新人にもかかわらず、社内をばりばり改革しようとしたからである。この役柄と比例するかのように、主演俳優としての今田は、リメイク請負人みたいなところがある。
『悪女』と同じ日本テレビで2024年に放送された『花咲舞が黙ってない』もまたリメイクドラマだった。上司に忖度しない役柄によって、今田のリメイク請負人像はより明確になった。リメイク作に限らず、今田は常に製作陣から期待され、それに応えられるだけの大きな器の持ち主である。
『あんぱん』は、3365人もの候補者の中から今田が満場一致で選ばれた。その期待に今回も晴れやかに応える今田美桜は、いわば、さわやかな朝ドラ請負人なのである。
<文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:
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