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なぜ今田美桜は“満場一致”で朝ドラ『あんぱん』ヒロインに選ばれたのか。期待に応える“器”の正体

 2025年前期朝ドラ『あんぱん』(NHK総合)で主演を務める今田美桜は、オーディションに応募した3365人の中から満場一致で選ばれたという。
『連続テレビ小説 あんぱん Part1 (1) (NHKドラマ・ガイド) 』(NHK出版)

『連続テレビ小説 あんぱん Part1 (1) (NHKドラマ・ガイド) 』(NHK出版)

 満場一致というワードに説得力を持たせるだけの器と力量、そして、朝ドラに相応しい晴れやかな存在感がある。  男性俳優の演技を独自視点で分析するコラムニスト・加賀谷健が、本作主演の今田美桜に期待しながら、朝ドラ請負人としての才能を解説する。

今田美桜が登場する画面

 朝ドラ『あんぱん』第1週第1回冒頭場面は、目がまわりそうなくらいさわやかである。ワンショット目に映るのは、『アンパンマン』作者・やなせたかしをモデルとする・柳井嵩(北村匠海)の作業部屋。外は明るいが、カーテンは閉めている。  作業に没頭して徹夜で朝を迎えたのだろうか。暗い室内を映すカメラ前をスタスタ歩く人物。嵩の事務まわり一切を取り仕切る妻・朝田のぶ(今田美桜)が、閉められたカーテンをピシャッと開ける。からっと晴れやかに「嵩さん、おはよう。朝だよ」。  薄暗かった室内にたっぷり入り込む朝日。窓を背景にした今田美桜の表情が、たくましく、心強い。今田美桜が画面に登場するだけで、ドラマは一気に活気付き、不思議と風通しがよくなる。

メイキングカメラが捉えるクランクイン映像

 今田美桜は朝ドラに相応しい俳優である。単にさわやかで晴れやかなばかりか、パッと初登場しただけで、作品のトーンを一瞬で決めてしまえる。これから平日の朝にこのドラマを見ることが、ウキウキ楽しみになる。  神木隆之介主演の『らんまん』(NHK総合、2023年)以来、主人公たちの幼年期から描く本作では、ひとまず上述した冒頭場面から過去(幼年期)に入る。第1回放送からしばらく今田は登場しないが、もうとにかく朝日を背景にしたさわやかショットが、視聴者の残像になっている。  本作のクランクインは2024年9月。第1回放送前に放送された『もうすぐ連続テレビ小説「あんぱん」』(3月20日放送)を見ると、高知ロケのクランクイン場面で今田が映る。監督の「よーい、はい!」の合図で川辺の野原を走る今田をメイキングカメラが捉える手持ち映像が印象的だ。途中、本編を撮影するカメラモニター映像がちらりと映り込む。ドラマ世界でも現実でも今田は変わらずに晴れやかオーラを発散していることが伝わる。
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一定のクオリティを担保する才能
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