
ここでちょっと話が変わりますが、女性の方はよくおわかりかと思いますが、星占いをプロにお願いした際、何月何日どこで生まれたという情報のみならず、生まれた時間も実は大事だったりしますよね?
私も人並みに占いが好きですが、長年自分が生まれた正確な時間というのがわからなくて困っておりました。
母子手帳に書いてあるとのことですが、母曰く母子手帳どこにしまったのかわからないとのこと。なんとなく夜だったような気がするけど……くらいな感じで、私はウン十年も自分が生まれた正確な時間がわからないまま過ごしていたのです。
しかし今回祖母の日記にしっかり、9月26日何時に病院に入り、そして何時何分に無事生まれた。そして体重まで、克明に記してあったのです。
その後、時折現れる「はるかちゃん」の文字。
〇月〇日 寂しいと伝えると、はるかちゃんとA子(私の母)が泊まりに来てくれた
〇月〇日 アメリカへ旅立つ前に成田空港から娘たちが電話をくれる。その時、はるかちゃんが電話口で「ハイ!」と確かに口に出す
〇月〇日 はるかちゃん日に日に可愛くなる
などなど。照れ臭くも、私のことをしっかり慈しんでいてくれた様子が、ありありと伝わってきたのでした。
たまたま見つけた日記帳。私は特におばあちゃん子でしたので、お習字の先生だった祖母の達筆な文字を見るだけで、懐かしさがこみ上げてきました。
自分が誕生したことをこんなふうに喜んでくれて、自分の一挙手一投足を大切に大切に記録してくれていた事実に胸がいっぱいになりました。
親族が亡くなった際の遺品整理は昨今、社会問題化しています。一つ一つ中身をチェックしていると大変だしキリがないから、完全にプロにお任せをして、中身を確かめることもなく処分をお願いするなんて話も耳にします。
万が一私がその選択をしていたら、この日記帳はあふれるほどの家財と一緒に処分され、誰にも気づかれることなく灰と化していたに違いありません。
紙は虫もつきやすいし、とっておきたいのだったら写真を撮り、それをデータ化して置いておけば良いのだという説もあります。もちろんそれもありです!
ただ私、今はそれ、できないかも。
日記帳にしみついたちょっとカビくさいような香り。ペラペラの紙の質感。
本物の触り心地がもたらす懐かしさには、かなうものはないと感じています。
年代物のモノクロ写真もそう。私は祖母の花嫁姿を収めたモノクロ写真をフォトフレームに収め、この日記帳とともに宝物として飾っています。
モノに埋もれ、生活するための足場もないといった状況だったら、それは確かに考えものではありますが、実はモノそのものが与えるパワーやエネルギーというものを、もっと私たちは見直しても良いのではないかと感じたりしています。
大人になっても、自分が確かに愛されていたということを感じさせてくれるモノがこうして存在することに感謝。たとえ人と人が離れ離れになっても、モノがつなげる絆ってあるのではないでしょうか。
<文/アンヌ遙香>
アンヌ遙香
元TBSアナウンサー(小林悠名義)1985年、北海道札幌出身、在住。現在はフリーアナウンサーとしてSTV「どさんこWEEKEND」メインMCや、情報番組コメンテーターして活動中。北海道大学大学院博士後期課程在籍中。文筆家。ポッドキャスト『
アンヌ遙香の喫茶ナタリー』を配信中。Instagram:
@aromatherapyanne