News
Human

「新車を買うくらいの感覚」遥か遠い限界集落の“450万円物件”を購入→家族で移住した“その後”

古民家を450万円で購入。決断の裏にあった想い

古民家 移住が計画を始めて2年目に決まった要因のひとつは、家を買ったことも大きいといいます。  現在の住まいは、重要伝統的建造物群保存地区にある古民家で、価格は450万円とのこと。何回か下見はしていたとはいえ、住んだこともない場所にいきなり家を買うのは、不安ではなかったのでしょうか。 裕佑さん「購入価格は約450万円の家だったので、家と言っても、新車を買うくらいの感覚だったと記憶しています。『万が一ダメだったら売ればいいし、築100年ほどの古民家なので住み続けても逆に価値は下がらないだろう』と思えたのが大きかったです。とはいえ、購入資金は妻の貯金から出してもらいました。僕は行動力はあるけど、資金力はないタイプで(笑)」 なぎ沙さん「正直、購入することに不安な気持ちもありました。でも、夫を信頼して『今しかできない経験かも』と思い決断しました。今となっては、すごく良い選択だったなと感じています。家さがしに終止符が打たれた近藤さん一家。一つひとつ課題をクリアしていく中で、準備でもっとも大変だったことを聞くと、引っ越しを自分たちで実行したエピソードを語ってくれました」 裕佑さん「引っ越しは業者に頼まずに自分たちでやったので、本当に大変でした。僕は大型免許を持っているので、レンタルトラックを借りて家具や道具を積み入れて運ぶことにしましたが、結局4往復もしました(笑)」 なぎ沙さん「なぜこんな大変な引っ越しになったのかというと、引っ越し前からフリマサイトで、古民家に合う古い家具やテーブルを集めていたんです。引っ越し前にいろいろ入手していたらどんどん荷物が増えてしまい……最終的に、3人暮らしとは思えない家財量になっていました。 例えば、耕運機も引っ越し前に購入していて、千葉の団地暮らしじゃ絶対使わないものが、ありましたね。最終的に、友人や移住コーディネーターさんにも手伝ってもらいながら、なんとかやり遂げました」

生きている実感が得られる生活

季節の移ろい こうして引っ越しも終え、新生活をスタートさせた近藤さん一家。仕事、家、引っ越しと、着実に歩みを進めて今に至りますが、現在の生活は『生きている実感がすごく得られる生活』だと話します。 なぎ沙さん「今の暮らしは、季節の移ろいを肌で感じることができる点が、素晴らしいなと思います。季節は春・夏・秋・冬の4つと言われますが、昔は72(※)に分けられるとされていました。その言葉の通り、今の生活では毎日違う花が咲き、森から聞こえる鳥の声や見かける虫も変わります。一歩外に出れば季節を感じることができ、生きていることを実感でき、移住してよかったなと感じています」 ※中国の暦法に由来し、日本では江戸時代に広まった「七十二候」のこと。1年を二十四節気(春分、夏至など)に分け、それぞれをさらに約5日ずつの3つに細分化して、合計72の季節の変化として捉える。  大変だった準備期間を乗り越え、自分たちらしい新たな生活をスタートさせた近藤さん一家。現在は、新たな課題とも向き合いつつ、子どもを自然とともに育てている点に、良さを実感していると言います。 【特集】⇒限界集落で子どもを育てる 【近藤裕佑】 赤ちゃんから楽しめる一棟貸しの宿「古民家ゆうなぎ」・自然体験活動団体「かが杜の学び舎ゆうなぎ」代表。自然体験活動指導者や教員としての経験を活かし、「原点教育(人間の古くからの生活や自然に触れ、これからの生き方を考える教育)」を主軸に自然・文化体験活動を提供する。YouTube:@kont_juniorhighschool_societyでは歴史の講義通しての知識面からの原点教育を試みる。 【近藤なぎ沙】 「古民家ゆうなぎ」「かが杜の学び舎ゆうなぎ」副代表。元学童保育支援員。保育士・幼稚園・小学校教諭免許を活かし「つながる子育て」をモットーに、自然・母親・親子がつながる居場所づくりや、「親子向け里山里海ステイ」の受け入れも構想中。木育インストラクター、おもちゃコンサルタントとしても、木のおもちゃの魅力発信や木育活動を行う。 <取材・文/おおしまりえ>
おおしまりえ
コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:@utena0518
1
2
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ