“1000円の壁”超える、チェーン店では高めの価格帯
そもそも論ではあるが、メニューそれ自体が大量閉店の引き金になった可能性も考えられる。まず「こってり(並)」が940円(以下、税込)、「こってりMAX(並)」が1210円するなど、メニューが高い。「こってり」を大盛にしようものなら1130円と、1000円をあっさりと超えてしまう。(※店舗によって価格が異なる可能性があります)
ラーメンといえば“1000円の壁”が頻繁に話題になるが、やはりラーメン一杯に1000円近く払うことを敬遠する人は少なくない。また、他のチェーン店であれば、1000円払えば大盛にしてもお釣りがくるケースは珍しくなく、なおさら天下一品に足を運ぼうとは思われにくい。物価上昇や人件費高騰など、営業努力ではどうにもできない部分もあるが、値段の高さによる影響も小さくないだろう。
値段だけではない。2023年6月に放送された『ジョブチューン』(TBS系)では、一流中華料理人7名が天下一品のメニュー10品それぞれに合否をつけたが、合格(4票以上獲得)したメニューは半分の5品のみ。一応、看板メニューである「こってり」は満票を集めて一矢報いる形とはなったが、
同番組の中でも5品も不合格になることはレア。この放送は2年前で、当然味の改良には努めていたとは思うが、味それ自体が客足を遠のかせた影響も無視できないのではないか。
実際、天下一品の独特な味わいは個性が際立っており、
熱烈なファンがいる一方で、人によっては好みに合わないこともあるようだ。
「以前『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で特集されて興味が出て行ってみたけど、『こってり』はただドロッとして、しょっぱいだけでした。僕が馬鹿舌なだけなのかもしれませんが、これなら二郎系やとんこつ系のほうが良いなと思ったので、それ以来行っていません」(30代男性・会社員)
「周りのラーメン好きとの付き合いで、全国各地のラーメンを食べてきました。その中でほぼ唯一、天下一品の『こってり』だけは申し訳ないけど美味しいと思わなかった。天一ファンに『日本一美味しいから食べて!』と勧められて食べたので、ハードルが上がりすぎていたのかもしれませんが、3回くらいトライしても良さがわかりませんでした」(40代女性・主婦)
天一ファンは多い。ただ、ファンが過剰に持ち上げすぎていることが、かえって非天一ファンが実際に食べた時のガッカリ感を強め、来店しにくくさせている可能性も無視できない。とはいえ、天下一品の大量閉店がニュースになった時にはX(旧Twitter)上にそのことを惜しむ声が多く見られ、根強いファンの存在とその想いの熱さを物語っていた。
「こってり」が天下一品だからこそ表現できる唯一無二の味であることは間違いない。天一ファンのためにも、今後の巻き返しに期待したい。
<文/浅村サルディ>
浅村サルディ
芸能ネタ、炎上ネタが主食。好きなホルモンはマキシマム ザ ホルモン。