
――序盤には、仕事をしていない自分を棚に上げて、仲間内の動向を気にしている豪太の描写がありました。風間さんはずっと活躍されていますが、活躍している近しい仲間を見て羨む気持ちは理解できますか?
風間:僕もいまは忙しくさせてもらっていますけど、全然求められていないときもありましたし、仕事に限らず、大抵の人のことを羨ましいといつも思っています。
――そうなんですか? それでも風間さんの場合は羨ましいと思うだけでなく、豪太とは違って、自分も頑張るということでしょうか。
風間:「ステキだな。羨ましいな」と思う気持ちは、それはそれであったとしても、「自分の仕事を頑張らなきゃ」という部分は、僕の場合、また全く別のエネルギーですね。自分の仕事への活力にはならないんです。
――「求められていないときもあった」とのことですが、「求めて欲しい」と考えていた期間は。
風間:ありましたよ。ただ不思議とそのときも「結局は自分だよね」となりました。周りを見て、羨ましいとは思うんだけど、結局、いまの自分の手持ちのカードで戦うしかない。
トランプの大富豪とか大貧民で、2やエースを持っている人たちを羨ましいなとは思うけれど、「いまターンが来た俺はこれしか持っていない。じゃあ、これで戦うしかないよな。だったら、どうしていこうか」という感じ。それしか考えたことがないです。
人生、すべてがケースバイケースだと胸に刻むことが大事

――本作は夫婦の物語が軸です。人と人とが関係を築いていくにはどうしたらいいと思いますか?
風間:結局当人同士のカスタマイズの話だと思うんです。人が変われば内容も変わって来る。
よく雑誌やテレビで理想の夫婦などと語られたりしますが、それもその人とその人には、それが理想というだけ。あなたと誰かだったら、また別の理想の形がありますよと。それが大前提だと認識することが、大事なんじゃないでしょうか。
――では風間さん自身が人と関係を築くうえで大切にしているのは。
風間:人生、すべてケースバイケースだということを、胸に刻もうということです。人が変わればすべて変わる。状況によっても変わります。だから「俗に言う啓発本とか、誰かのライフスタイルをトレースしようとすると破綻するよ」と思います。