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大ベテラン女優が“イケメン俳優親子”を「25年越しに結びつけていた」事実に衝撃。ゾッとする怪演がまさかの連鎖

新人俳優役を演じる野村康太という配役

 純に抱かれる陽子が目を剥く瞬間はそのあとの自宅キッチン場面にもあるのだが、これは自分の結婚式をぶち壊す発言を浴びせてきた妹・月子への恨み節の眼差しである。  松下は役柄の心情変化を表現するためにわかりやすく目を剥く演技をする。松下演じるキャラクターが同様な心情変化を見せるドラマが近作にもある。狂乱のマネージャー役を演じる『ディアマイベイビー〜私があなたを支配するまで〜』である。  同作第1話、脱け殻のような顔した主人公・吉川恵子(松下由樹)が街路を歩く。敏腕マネージャーである吉川は手塩にかけて国民的女優にした垣内麗奈(安達祐実)に裏切られた。  吉川が麗奈からシニカルな言葉を浴びせられる場面が回想として描かれ、これが心情変化の起点となる。吉川は街路ですれ違った森山拓人(野村康太)に一目惚れしてスカウト。異常な愛情を注いで拓人を育てるのだが、新人俳優役を演じる野村康太という配役が何とも絶妙ではないだろうか?

父子俳優が結びつける兄弟作

 どうしてかというとそれは極めて単純に、野村康太が沢村一樹の次男だから。『週末婚』で世紀末感をひたすら漂わせ、怪しい魅力と執念で月子と豹を追いつめた陽子役から、25年以上の時を経て今度は沢村の次男が演じる若手俳優をさらなる執心で囲い込む。  松下由樹が怪演する恐怖が、まるで沢村一樹&野村康太の父子俳優によって連鎖するみたいな。拓人に対して独り言のように目を剥く吉川役を演じる松下は、陽子役以上の演技を見せる。  松下由樹が25年以上前に演じ、あるいはまた現行作品で演じるふたつの役を沢村と野村がはからずも結びつける。その意味で『週末婚』と『ディアマイベイビー』は時をかける兄弟作と考えてもいいかもしれないなと思う。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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