「その男女の笑顔でドラマの主人公にでもなったかのように『
ありがとうございます! 僕たち絶対に幸せになります! もちろん皆さんの幸せも祈っています』と次の駅で手を振りながら降りて行く姿を見て、少しでもこのカップルの心境により添い心配した自分って本当にバカだなと思いました」
そして裏腹にもう一つの感情が湧いてきてしまい……。
「『
もしや人の幸せを素直に喜べない私って、心が相当すさんでいるのかな? だからここ2年間、全く彼氏ができないのかも……あれ、変なのは私の方なのかな? と妙にモヤモヤしてしまったんです。
誰もが不愉快なはずの満員電車での自分勝手なカップルの振る舞いに、あんな優しい反応をする人達っていったいどんな豊かな毎日を送っているんだろう? とつい考え込んでしまって」
そんなこんなで朝から疲れてしまい、その日麻衣さんは全く仕事に集中できませんでした。
「なんで朝からこんな風に自分の至らない面と向き合わなくちゃいけないの? と嫌になりました。さらにお昼休みに同僚に愚痴ったら『
ただそのカップルに嫉妬しているだけじゃない?』と言われてため息が止まりませんでしたね」と苦笑いをする麻衣さんなのでした。
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<文・イラスト/鈴木詩子>
鈴木詩子
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:
@skippop