千原さんは若手時代から松本さんとも親交が深く、松本イズムを受け継いでいるとされるだけでなく、独自のセンスを持つ話芸のスペシャリストとして若手芸人たちから憧れの存在です。

画像:ABEMA プレスリリースより(PRTIMES)
松本人志さん並みのポジションに座っても違和感のない芸歴35年の千原ジュニアさんこそ適任者だったと言えるでしょう。
実際、番組の生放送開始時には千原さんが「総合演出から手紙をもらった。バラエティ番組出演で手紙をもらうのは初めてだった」と審査員裏話を暴露しました。そのエピソードは笑いを交えて語られていましたが、番組側が千原さんに審査員長席を懇願した事情も垣間見えました。
また決勝では各コンビのネタ披露後、千原さんは厳しすぎる点数をつけるわけでもなく、面白いと思ったコンビにはしっかり高得点をつける非常に適切な審査をしていた印象でした。
コメントでも「そんな部分を見ているのか!」と審査される芸人たち本人が驚くような鋭さも。例えばかもめんたるに関しては、コンビの中核を担うボケの岩崎う大さんに注目が集まりがちなところを、相方・槙尾ユウスケさんの演技力を評価するなど、“じゃないほう芸人”の魅力を短い言葉で評価。
千原さんからコメントをもらったニッポンの社長やロングコートダディは、「よくそこを見ていただいた」という嬉しさを噛みしめるリアクションしていたのも印象的でした。
普段のジュニアさんとは雰囲気が違って、若手をふざけていじるような場面がほとんどない低姿勢かつ真面目で紳士な審査態度も審査員として非常に好印象だったのではないでしょうか。
また、漫才とコントの二刀流王者を決める大会において、開催前から「漫才の中でコントを演じる“コント漫才”はどう評価するのか」という疑問がお笑いファンの間で議論されていました。

画像:株式会社パートナーエージェント プレスリリースより(PRTIMES)
そうした中、女性に扮するコントを得意とするコットンが漫才でも女性に扮するコント漫才を披露したことに対して「相方の西村がコントに入らず、西村のままで漫才をしていたから漫才として評価した」と千原さんが語っていました。
第2回開催に向けたコント漫才に対する番組としての解となるようなコメントを残した千原さんは、審査員長としての存在感を大いに出していたのではないでしょうか。
2017年から放送されている『千原ジュニアの座王』(関西テレビ)では、千原さんが企画立案とMCを務めています。若手芸人たちに即興で漫才やコント、大喜利、ギャグ、歌ネタなどを競わせ、ジャンルごとのお笑いポテンシャルを引き出してきた千原さん。
若手たちの多方面の面白さやお笑いのそれぞれのジャンルにおける違いを考え続け、お笑いを探求し続けている千原さんがM-1でもKOCでもない『ダブルインパクト』の審査員長席に座ったのもこれまでの功績を見ても必然だったのかもしれません。