「公演からわずか数週間後に旅立つなんて」盟友も悲痛
「言葉では言い表せないほどの悲しみの中、私たちの愛するオジー・オズボーンが今朝、逝去したことをお知らせしなければなりません」
「彼は家族に看取られ、愛に包まれながら旅立ちました」
7月22日、遺族は声明を発表し、オジーが死去したことを明らかにした。
訃報を受け、ブラック・サバスのメンバーも追悼コメントを発表。トニーはXへの投稿で「信じられない! 最愛の友オジーが、今月5日の公演からわずか数週間後に旅立つなんて」「言葉では言い表せない、胸が張り裂けるような知らせだ。彼のような人は二度と現れない。ギーザー、ビル、そして私自身、兄弟を失った」と偲んだ。
コウモリ噛みちぎり、薬物、不倫……それでも見放さなかった妻
英バーミンガムで生まれたオジーは、15歳で学校を離れ、職を転々。窃盗罪で服役した後、ロックスターとして生きることを決意し、音楽活動を開始した。
1960年代後半にブラック・サバスを結成し、1970年にファーストアルバム『黒い安息日(Black Sabbath)』を発表すると、そのダークでヘヴィなサウンドでたちまち人気に。『パラノイド』など大ヒット作を次々と生み出し、ヘヴィメタル界のパイオニアとしての地位を確立。「ヘヴィメタルの父」と呼ばれる存在になった。
1979年にブラック・サバスから解雇されたオジーは、ソロ活動をスタート。音楽プロデューサーで、のちに妻となったシャロンのマネジメントにより飛躍し、ソロアーティストとして成功を収めた。

公私ともにオジーを支え続けた妻シャロン
私生活では最初の妻と2人の子どもをもうけたが、薬物依存などの深刻な問題が夫婦間に影を落とし、結婚生活は破綻。1982年にマネージャーだったシャロンと再婚し、3人の子どもを授かった。2001年には家族で出演したリアリティ番組『オズボーンズ』で新たなファン層を獲得した。
2019年には自宅で転倒して首の手術を受け、2020年にパーキンソン病と診断されたことを公表した。
バンドを解雇されたのち復帰したり、様々なメンバーで活動を続けたり、長い音楽活動の間に浮き沈みも経験してきたものの、ロック界のカリスマとして君臨してきたオジー。奇抜なパフォーマンスが有名で、ライヴ中に客席から投げ込まれたコウモリの頭を噛みちぎった「事件」はいまも語り継がれている。
また泥酔状態で、歴史的記念碑であるアラモ慰霊碑に放尿して逮捕されたことも……。奇行でトラブルを起こすことも多かったが、バンド仲間だったギーザーは「本当は思いやりにあふれた優しい人だった。助けが必要な友人に常に寄り添い、仲間思いだった」と追悼文のなかで振り返っている。
私生活でも、アルコールや薬物・度重なる不倫など問題が多く、家庭生活は決して安定しなかった。オジーに密着したドキュメンタリー番組のなかでは、シャロンが30年以上前にあやうく殺されかけたことを告白。「ハイになった夫が私の上に馬乗りになって、首を絞めた」と明かして、世間を騒然とさせた。
それでも決してオジーを見放すことはなかったシャロン。公私ともに夫を支え続け、共に困難を乗り越えてきた。オジーも「シャロンなしでは、自分は何もできない」と公言していたといわれている。
10月には、そうした人生の浮き沈みや不倫騒動など、率直な告白が綴られたオジーの自伝『Last Rites』が刊行される予定。シャロンは、序文を執筆することになっており、「彼を送り出すための癒しの作業になる」と語っているという。
<文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>