一番ひどかったころはお風呂とトイレ以外は自室にこもり、食事も部屋の前に置いていたとか。これに比べればかなりの前進ですが、ここからさらに一歩を踏み出すことができずにいるようです。
ちなみに
娘の絵美さんは、10代のころにもひきこもりを経験。中学時代、いじめが原因で不登校となり、なんとか高校には進学しますがほとんど学校には通えず1年生で中退。改めて通信制高校に入り直しますが卒業後に進学した専門学校も途中で辞めてしまったそうです。
社会人になってからはアパレル販売員の仕事をずっと続けていたものの、店舗の閉鎖という不運もあって30歳のときに退職。次に就いた仕事が問題のコールセンターでした。

「10代のころ、ひきこもっていた娘に私と主人があれこれ口を出して、結果的にますます家から出られなくなってしまったんです。再び娘がひきこもりになってからは
“見守ってきた”と言いましたが、私たちにはそうすることしかできなかったんです」
社会復帰を考えた場合、やはり8年という職歴の空白期間は大きなネック。現在は各地でひきこもりの方を対象とした就労支援があるとはいえ万全はいえません。しかも、瑛子さんも絵美さんもこれまで支援団体などに相談は行っていません。そのため、仕事も自力で探すとなると簡単に見つかるとも思えません。
娘には幸せになってほしいが、待ち受けるのは厳しい現実ばかり
「娘とは他愛のない世間話はできるけど、本当にしなければいけない話はまったくできていません。私も夫もいつまで生きられるかわかりませんし、一人っ子だから頼れる兄弟もいない。40歳という年齢を考えると結婚も現実的にはかなり難しいでしょう。
主人は娘が将来なるべく困らないようにと
74歳の今も体に鞭打って駐車場の警備員の仕事をしています。老後は旅行でもしながらのんびり暮らしたいと思っていたのですが、どうやらそれは無理そうです」
親も本人もこのままではダメだと理解しているようですが、一方でどうすればいいのか身動きが取れなくなっているのも事実です。
今年5月、厚生労働省は高齢化や長期化が進むひきこもり問題に対処するため、初のマニュアルを策定する方針を固めました。実態が見えにくいからこそ国や自治体が主導して支援の枠組みを作っていくことが必要なのかもしれません。
<取材・文/トシタカマサ>
トシタカマサ
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。