
ボリビア ウユニ塩湖にて
おかんさんいわく、病院受診の前は準備が重要なのだとか。まず、病院に行く前に話したい内容を日本語でまとめ、それを翻訳アプリで現地語に変換しておきます。
それを見せながら翻訳アプリを使ってやり取りをすれば、現地の言葉が話せなくても、きちんと受診はできるという。また費用面の不安は、海外旅行保険やクレカ付帯保険も活用したため、ものすごい高額請求が来ることもなかったといいます。
「病院受診で印象に残っているのは、ペルーのマチュピチュ村の病院を探すときです。基本的に、旅の途中で病院受診をする際は、クレジットカードの海外問い合わせ窓口に電話して、日本語対応可能な病院を探してもらいます。でもマチュピチュ村では場所がローカルすぎてそれができず、宿のオーナーさんに村の病院を紹介してもらいました。医療の質については若干心配になる部分はありましたが、とても親身になって対応していただき、温かさを実感しました」

“青い街”と呼ばれるモロッコのシャウエンにて
世界のあらゆる場所であらゆる経験をして育つ子どもたち。稀有な経験をした彼らも、現在は帰国して1年以上が経ち、普通の生活を送っています。当初「彼らにこの旅の記憶が鮮明に残ることは、ほぼないだろうと思っていました」と語っていたおかんさんですが、実際旅の記憶は、子どもたちにどんな影響を与えるのでしょうか。
「一番上の子は、旅を経験して日本の良さを改めて実感しています。蛇口をひねって水が飲めること、ご飯がどれも美味しいこと、それがどれだけ恵まれているかは、旅を通して理解したようです。
真ん中の子は、もともとの性格が自由で順応性が高く、わりと海外向きでした。そのせいか、帰国直後は日本のことをいろいろ忘れていましたね(笑)。今では日本が大好きな生活に戻っていますが、それでも三角を見れば『ピラミッドだね』って言うし、紅葉を見ては『カナダのマークみたい』と、“世界”を自分のものとして感じています。
1歳だった末っ子は、まったく人見知りをしない子に育ちました。いろんな国でいろんな人からハグされ、可愛がれ、人に対する愛みたいなものを感じ取っているんだと思います」

トルコ カッパドキアにて
三者三様の成長をしているおかん家の子どもたち。改めて、「旅って、子どもにどう影響すると思いますか?」と聞くと、こんな言葉をもらいました。
「今回の世界一周旅は、私が行きたいところから始まっているので、子どもへの影響はそこまで考えていませんでした。でも体験は“記憶”じゃなくて、“感覚”として、ちゃんと残るんだなって、子どもを見ていて感じます」
子どもたちの中には“世界の空気”が、じんわりと染みこんでいるといいます。大人になったとき、その感覚が、視野の広さや自信になっていくのか、今から楽しみです。旅が子どもにあたえる影響について、皆さんはどう感じたでしょうか。
【おかんトラベラー】
1988年生まれ、大阪在住。正社員を辞め、夫と3人の子どもを連れてローンを抱え世界一周へ。英語力ゼロ・バックパッカー経験なしで、200日間14カ国を巡る旅に挑戦。「子連れには今しかできない旅がある」をモットーに、旅で子育てを楽しむお母さんを増やすべく
Instagramや
Voicyで発信中。著書『
子育てはしんどい。だから私は子どもと一緒に旅にでる』はAmazon人気度ランキング総合1位。
<取材・文/おおしまりえ>
おおしまりえ
コラムニスト・恋愛ジャーナリスト・キャリアコンサルタント。「働き方と愛し方を知る者は豊かな人生を送ることができる」をモットーに、女性の働き方と幸せな恋愛を主なテーマに発信を行う。2024年からオンラインの恋愛コーチングサービスも展開中。X:
@utena0518