「父親のふりをする男」が5歳の娘を連れ去ろうと…ショッピングモールの“魔の構造”が生んだ、わずか5分の恐怖
「娘はあのとき殺されてもおかしくなかった。『まさか自分の家族が事件に巻き込まれるわけがない』という思い込みがどれだけ怖いか。心の底から思い知らされました」
埼玉に住む綿貫ゆまさん(仮名・28歳)は、昨年、夏休みを利用して地元の有名なショッピングモールに家族4人で出かけました。そして、多くの人で混雑するその場所で、長女のさきちゃん(仮名・5歳)が恐ろしいトラブルに巻き込まれることになったのです。
その日はショッピングモールのイベントが行われていて、どこに行っても多くの人であふれかえっていたそうです。綿貫さんは、当時の状況をこう振り返ります。
「どなたでもそうだと思うのですが、何か事件や事故に『まさか自分が巻き込まれるわけがない』という“根拠なき自信”があると思うんです。私もそうでした。あの日は半日くらいお買い物やアミューズメントエリアを楽しんで、そろそろ帰ろうかというタイミングでした。帰る前に娘にトイレに行くように促したら、『出ない』というので、3歳の息子と5歳の娘を夫に見てもらって、そのまま私はトイレに向かいました」
旦那さんはトイレの近くの椅子に座り、息子を抱きかかえながら隣に娘さんを座らせていました。奥さんが入っていったトイレは目と鼻の先。近い距離に待ち合いスペースがあったそうです。
「私がトイレに行っていたのも、ほんの5分くらい。混んでいなかったので、スムーズに入れました。でも、トイレから出て夫のところに向かうと、娘がいなかったんです。夫に聞くと、『あれ?トイレにママを迎えに行ってくるー!って、さっき入っていったよ』って。女性用トイレの出入り口はひとつだけ。私は娘に会わなかったのに……」
女性用トイレに向かって駆け出していった娘さんの後ろ姿を、旦那さんがしっかり見ていました。そして、「こんな至近距離だし大丈夫だろう」と、抱きかかえていた息子さんに視線を戻しました。そのまま娘さんは忽然と消えてしまい……。
「あわててトイレに戻り、個室をすべて確認しました。どなたか別の方のところに駆け込んでしまったんじゃないかと思って、人が入っている個室も出てくるまで待ってみたり。でも娘はいませんでした。意味が分からず、『なんで!!?なんでいないの!!?』と、取り乱してしまって」
間違えて男性用トイレに行ってしまった可能性もあったので、旦那さんが急いで確認しましたが、娘さんの姿はありませんでした。




