バラエティやネタでその名を知られ、俳優業に進出している芸人とは別に、まだまだブレイクには至っていないものの、ドラマ出演で光る演技を見せている芸人もいます。最近では、連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)に
スクールゾーンの俵山峻さんが出演しました。
俵山さんは、『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ』(フジテレビ系)やショート動画で活躍し、Z世代を中心に大人気の芸人です。『あんぱん』で与えられたのは、役名のない喫茶店ボーイ役ではあるものの、物語の展開に影響する少々クセのある演技で存在感を見せつけました。
昨今の朝ドラとしては珍しく芸人があまり起用されていない『あんぱん』で起用されるということは、ショート動画などで評価の高い俵山さんの個性や演技力を見込まれてのことでしょう。
また、『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』ではコントユニット、
ダウ90000の園田祥太さんが家臣役でレギュラー出演中。ダウ90000メンバーは、ドラマでは1話のみのゲスト出演が多いですが、天下の大河ドラマでレギュラー出演している園田さんはその中でも役者として一歩リードしているというところでしょうか。
吹越満さん、竹中直人さん、ジョビジョバの面々など、芸人として芸能界に足を踏み入れ、その後、主に俳優として大活躍する方々もいますから、その点でも活躍は見逃せません。
最近役者さんとして活躍しだした金田さん、川西さんに共通するのが、
以前よりネタ番組や舞台で芸を見る機会がなくなってきたことです。ひょうろくさんにしても、ドッキリなどの単発出演がメインで、ネタなどをして舞台に立っている印象はありません。
芸人の俳優さんに与えられる役はよくて4~5番手。キャスティングするにあたって、レギュラー番組や舞台の出番、営業でスケジュールが限られる“本業”で忙しい芸人は敬遠される傾向があります。

画像:コンシェルジュの水戸倉さん(番組公式HPより)
その点、知名度がありながらも柔軟にスケジュールを組める彼らにオファーが来るのは当然のことでしょう。
ブレイク未満の芸人が起用されているのも同じ理由です。
また、役者として目新しい芸人が出演するだけで、話題性がでるというの理由もあるでしょう。今回の大河ドラマ『べらぼう』も、ひょうろくさんだけでなく、サルゴリラさん、クールポコさん、3時のヒロイン・福田さんもスポット的に出演し、ネットニュースやSNSをにぎわせていました。
ドラマや映画に芸人が出ていると、それだけで空気が変わり、物語に違った彩りを与えてくれます。これからも芸人さんが映像作品に顔を出すことは続いていくことでしょう。
<文/小政りょう>
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦