ABCの特別番組では、ブルースが現在、24時間体制のケアが整えられたセカンドホームで暮らしていることも明かされた。エマは「最も難しい決断の一つだった」と苦渋の思いをにじませつつ、「娘たちにより安定した環境を提供したかったし、ブルース本人も娘たちのためにそう望んでいるはずです」と語った。
また彼女は米誌『ピープル』に対し「ブルースにとって騒音など刺激を避けた環境が重要だった」と説明。9日に出演した米番組『Good Morning America』では、「以前は助けてほしいと言えなかった。“助けを求めてもいいんだよ”って誰かに言ってもらう必要があったのです。私は、誰かを介護している人にそれを伝えたくて本を書いたのです」と述べ、自分を犠牲にしすぎないためにプロの介護士に頼る選択をしたと明かした。
ブルースが暮らすセカンドホームは、エマや娘たちが暮らす自宅のすぐ近くにある別宅で、そこで毎日一緒に食事するなど、家族で多くの時間を過ごしているという。けれども、ブルースと家族が別々に暮らしていることを「別居」と捉え、「病人を家から追い出した」「夫を見捨てた」などと非難する人も。
こうした批判に対し、エマはSNSで反論。「世間にはやたらと意見を言いたがる人がいますが、それを裏付けるだけの経験を彼らが持っていないことも多い。それを忘れてはなりません」「経験したことがない人たちは意見を述べるべきではないし、彼らの声を気に留めるべきではありません」と訴え、介護者への理解を求めている。
そんなエマをサポートし続けているのが、ブルースの元妻でベテラン女優のデミ・ムーアだ。3人の娘に恵まれながら、2000年に離婚したブルースとデミだが、別れた後も友好な関係を維持。ブルースがFTDと診断されて以降は、エマや彼らの幼い娘たちに寄り添いながら、元夫の闘病を支えてきた。
つい先日公開されたポッドキャスト番組『ジ・オプラ・ポッドキャスト』で、デミはエマについてこう話している。

ブルースの家族を懸命にサポートする元妻デミ・ムーア
「この状況がどうなるか誰にも予想できないなかで、彼女は本当に良くやっていると思います」
「彼女は正しい方向へ進むために全力を尽くしてきました」
「多くの問題がエマにのしかかっていましたが、本当に素晴らしかったのは……介護する人にとって何より大切なのは、自分自身のケアであると気づけたことです」
「自分のコンディションを整える時間を持たなければ、他の誰かのために力を尽くすことはできません」
介護者が自分を犠牲にしすぎず、まず自分自身を大切にすることの重要性を訴えたデミ。介護の重責を担ってきたエマに共感と理解を示した。一方で、元夫ブルースの現在の姿を見るのは「つらい」とも。
「あんなにも生き生きとしていて力強く、揺るぎない意志を持っていた人が、別の人格に変化していくのを見るのはつらい」
「でも、大切なのは相手の立場に寄り添うこと。その人の従来の姿や、自分の理想通りでいてくれることを望まないこと。そうすれば、すばらしい優しさや、柔らかく繊細で、愛に満ちた何かが見つけられる」
たとえ言葉を交わせなくなっても、家族の絆が消えることはない。
<文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>