つまり、藤井風には荒削りながら表現したいメロディがあるというよりも、多様な音楽から気持ちの良い要素を抜き出す能力があります。彼が自身のYouTubeチャンネルにアップしているカバー楽曲のリストを見ると、Taylor Swift、Billy Joel、沢田研二、Maroon 5、チェッカーズ、椎名林檎をはじめ、誰もが知っている名曲が中心です。
ここからは特定のこだわりを感じるよりも、「心地良いものであれば何でも受け入れる」というオープンな感覚がうかがえます。
「Prema」は、Maxi Priestの「Close To You」のメロディを80年代のブラックミュージックであるニュー・ジャック・スウィングに乗せたような印象を受けましたし、「花」はSantanaとMichelle Branchの「The Game Of Love」をピアノサウンドに置き換えた雰囲気です。
良い意味では「懐かしい」、どこかで聴いたことがある音楽。しかし、「圧倒的」と言える音楽かどうかは議論の余地があります。誤解を恐れずに言うならば、藤井風は音楽においてオールラウンダーの優等生なのです。