不動産を買いたい女性に問う「あなたは何が欲しいのか」

98万円温泉ハウスの浴室
――その場合、何から始めればいいんですか?
高殿:まず、「自分にとって何が大事なのか」、己を知るところから始めてください。
――えっ、いつどんなとき幸せか、自分の幸せを考えることが、不動産への第一歩?
高殿:いろんな方とおうちについて話すと「グリーンビューでないとイヤ」、「犬猫と暮らしたい」、「散歩できるところ」とか、幸せに思うこと、外せないポイントがいろいろなんですよ。
――広い部屋が欲しい! などは、都内で叶えるのはハードルが高そうです。
高殿:でも、狭くてもいい、都会じゃないとダメ! というポリシーで物件を購入する人もいますよ。自炊をしないから、近所においしいご飯やさんがないと、とか。華やかじゃないとイヤだという人がヴィンテージのマンションを利便性最優先で買ったケースもあります。
――本当にまちまちなんですね。
高殿:目黒の駅前のタワマンとか、みんなが憧れる不動産はあるでしょう。でも、現実的には難しい(笑)。人それぞれ、自分に合った家があって、突き詰めれば「最大公約数」が見つかるはず。己を知れば、どういう生活をしたいのか見えてきます。己のほしい家をきっちり言語化してみてください。どこが譲れないのか、落としどころが見えてくる。きっと自分でもびっくりするはずですよ。
――セルフ・コーチングのようですね。不動産を買うために、自分を見つめ直す必要があるとは思わなかったです。
高殿:言語化って本当にすごくて、ひとつ自分が賢くなれる! 私は日記を書いてアウトプットすることをおすすめしています。その結果、転職を選ぶ子なんかもいました。

絶景を眺めながら一杯
――運命が変わっている……!前回、「家は自己肯定感を高めてくれる」というお話が出ましたね。
高殿:自慢じゃないですが、私や私の本の影響で家を買った女性たちが周りにたくさんいます。みんな幸せになっている(笑)。日本の女性には「自己肯定感が足りない」と常々思っていて、「持ち家はあなたをほめてくれる」と伝えたいんです。
この一文は本の帯にもしてもらいました。まず自分を知って、「これが揃っていれば自分は幸せ」を大事にしてください。情けないことに、私は45歳を超えるまで気づけなかった。て、30代でそれに気づいていれば無敵ですよ!
――「自分で家を買った」という事実が、人生を盛り立ててくれるわけですね。
高殿:最近、私の伊豆の温泉ハウスにいろんな人がいろんな相談をしに来るんですよ。尼寺システムとか、「伊豆の瀬戸内寂聴」とか呼ばれていて(笑)。みんなひとまず温泉に沈めてアイスでも食べさせると、前向きになってパワーが出てくる。温泉と海が癒してくれるんでしょうね。
――温泉とアイス! ぜひとも“沈められたい”ですね。温泉の出る家をゲットした高殿さん、次の野望はありますか?
高殿:実は今、夏でも比較的涼しい、「夏に住む家」を探していて。今年はあまりに暑いから、夏の家は今後ブームになるんじゃないかなと思っています。氾濫しない川の近くに土地を買って、3Dプリンターで、平屋を建てたいんです。
――大阪万博で3Dプリンターの建物が使われるなど、今注目を集めていますね。
高殿:さらに、空き家でスタートアップ(起業)しようと思って、具体的に動き始めています。いろいろやりすぎていて、本業の小説を書いてないんですけど……(笑)。
――子育てが大変だったり大病を患ったりと、壁にぶつかられたこともあったはずなのに、すごいバイタリティですね!
高殿:世の中に流されて悲観的にならないように心がけています。もうすぐ50になるから、それで吹っ切れた部分はあるかな。30代のときはまだまだ、40代超えて、子どもが落ち着いたから考えられるようになりました。元気に生きているけど、失敗もある。でも、失敗を笑って話せる人がいたら、若い人も気が楽かなと。まだまだやりたいことがたっくさんあります!
――「温泉付きマンション」による鋼の自己肯定感が、どんどん活動を後押ししてくれているんですね!