千絵美の最初の洗礼が、Gの大群でした。食べ残し、飲み残しの温床となった部屋に生息する奴らを徹底的に駆除する使命です。「千匹はいる」というG、想像できますか? いや、想像したくないですよね。Gの雨あられです。空の殺虫剤が何本も床に散乱した中、これでもかとおそってくるG。死骸ではなく、生きているGの群れと殺虫剤で格闘する千絵美には、もう尊敬しかありません。
激務や、やむを得ない理由から、片付ける体力と気力が奪われ、ゴミという名の不用品で意欲までが埋もれていく。いざ決意して片付けようとしても、どこから手を付けていいかわからない。真面目な方ほど、一気にやろうとしてしまうのでしょう。
本書による、汚部屋を片付けるコツはふたつ。
1.完璧を目指さないこと!
「床に落ちているものだけ」「ゴミ袋1袋分だけ」など、小さく具体的で達成しやすい目標設定に。
2.まず床から着手!
床の生活導線が片付くだけで、空間が格段に広く感じられ気持ちが明るくなります。
「片付けは自分を責める時間ではなく、自分を大切にする時間」だそうで、焦らず、ゆっくりと、自分と部屋を労わるのが正解。人生の風邪がひどくなりそうなら、プロに相談を。きっと笑顔を取り戻せるはずです。
【第1話はこちら】⇒
ゴミ屋敷に住む元OL、「自分が恥ずかしい…」。マジメな人がゴミに埋もれてゆく心の闇
<文/森美樹>
森美樹
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『
主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『
母親病』(新潮社)、『
神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。
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