問題を起こした人間に対して、周囲はどうしても腫れ物に触るように接してしまう。だからこそ、あえて触れられたくない部分に触れ、笑いに変えてしまうことで、周囲も距離感をつかみやすくなる。
加えて、イジられた後に負け顔を見せることで、視聴者に「反省しているみたいだな」と思わせ、留飲を下げることも可能だ。つまり、トラブルを起こした有名人にとっては、こうしたイジりはいわゆる“愛あるイジり”であり、心で喜び、表情で泣きながらリアクションしなければいけない。

画像:PR TIMESより
今回の広末を回答の選択肢に入れたクイズも、その定番パターンによるものだったのだろう。本来であれば、広末は「勘弁してくださいよ~」と負け顔を見せるのが“テレビ的なマナー”とされてきた。「せっかくイジっていただいたにもかかわらず、負け顔を見せるどころか、反旗を翻すなんてもってのほか」と思った人もいるようだ。
とはいえ、今回番組がイジりの題材にしたのは交通事故である。不倫なども多くの人を不幸にする行為ではあるが、交通事故は深刻さが違う。運転手や同乗者、対向車線のドライバーなどが命を落とすこともある。“不祥事”と同列に扱い、笑いのネタにして良いわけがない。
大前提として、世間話レベルなら不祥事を起こした有名人についてどうこう言うのは個人の自由だが、公共の電波を使って不祥事を笑いに変えるのはいかがなものか。
イジられることが嫌な人は一定数おり、それが仮に自身の落ち度によって引き起こされた問題だったとしても、触れられることを嫌がる人もいるはずだ。