Entertainment

「前が見えなくなる瞬間がたくさんある」38歳俳優が明かす“悔しさ”と40代への想い

「40代、50代も悔しがっていたい」

『おいしい給食 炎の修学旅行』――そんななかご自身のモットーはいかがでしょうか? 市原:365日、24時間、常に分岐点であり、現時点は通過点であると。置きに行くモノ作りではなく、常に投げかけて挑戦していくモノ作りでなければならないと思っていまして、そこでは人道的でありたいし、常に夢を優先させなければならないといつも思っています。我々の世界には、何かの都合によって失われてしまうものが、システムがたくさんあるんです。そんな中でも夢をつかみとらなければいけない。 本当に前が見えなくなる瞬間がたくさんあるんです。悔しい想いをすることもたくさんあります。何も見えない泥水に手をつっこんでその中で必死に表現という夢をつかみ取り、そこを一番に掲げてお客様にお見せするということ。何があっても一番にお客様に楽しんでいただきたい。悦に入ってはいけない。それをつねに心がけています。 市原隼人――来たる40代に向けては、何か準備などをされていますか? 市原:10代、20代前半は常にがむしゃらでいたいという想いがありましたが、そのままなんです、40代を前にして(笑)。これから40代、50代を迎えるにあたって、不安はたくさんあります。体力的な面も精神面も、どこかで衰えていくかもしれないので、守りに入るのではないか、置きにいく動きをしてしまうのではないかと。でも、そこの突破口を自分で必ず見つけて、どんな小さなところでも風穴を開けて挑戦していく。 やっぱり夢に憧れていたい、役者にも憧れていたいですし、憧れられる時代でもあってほしい。表現者、エンターテイメントって素敵だなと思われるように奮闘したいんです。そのためには、それまでに比べて孤独になる時間が増えるかもしれないし、自分と向き合う時間が増えるかもしれない。より自発的に動いていかなくてはならなくなるかもしれませんが、現時点を通過点として40代、50代も悔しがっていたいです。 本気で悔しがって本気で笑って、本気で泣けるほどありがたい日々はない。これから先も毎日心を折られながら、毎日いろいろなことに負けていくのだろうと思いますが、負けたら負けたでその何倍もの想いで壁を乗り越えてやるという気持ちを忘れずに前に進みたいと思います。 ただ、たまには贅沢したいので、40代、50代なりの贅沢な時間の使い方も考えます。ちょっとゆっくり自分にご褒美を与えたりして。40代になったら、ちょっとだけ休んでもいいのかなと、自分に甘えたりしてみたいとも思っています。

「すべての肩書きを忘れて旅に出てみたい」

市原隼人――ちなみに贅沢な時間は、何をしてすごされますか? 市原:旅行に行きたいです。すべての肩書きを忘れて、一週間旅に出てみたいです。おいしいものを食べながら(笑)。 ――最後になりますが、映画を楽しみにしているみなさんへメッセージをお願いいたします。 市原:「おいしい給食」が新たな世界観をいただいて、新たな面を見せることができました。キャスト、スタッフ一同、胸を躍らせて10月24日(金)を待ち遠しく思っています。今回は北海道、青森、岩手とロケに行って、本当に贅沢な作品となりました。お祭りのような騒ぎをぜひご覧いただき、日々の活力にしていただきたいと思います。 <取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
トキタタカシ
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
1
2
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ