
画像:株式会社宮城テレビ放送 プレスリリースより(PRTIMES)
ただし、せきや氏の発言が間違っているわけではない。通常、漫才のネタは限られた時間で細かい説明を行わないため、セリフやツッコミを見ながらネタを理解することが求められる。
せきや氏はエバースについて詳しく知らなかったようで、漫才のキャラやネタの傾向を理解できず、「偏見」と捉えた結果、提言に至ったと考えられる。
今回の騒動についてだが、どちらが悪いというよりも問題なのは、漫才のネタで賛否両論が生じたことだ。
芸人たちもX上で「漫才のネタが叩かれて世も末ですな。芸人皆で手を繋いで死にましょう」(9番街レトロ 京極風斗)、「なるほど。笑点に出る事、目標にしてたけど…こりゃ無理だな」(ツーナッカン 中本)とコメントしている。
コンプラ意識の高まりや、SNSの影響力が強くなったことで、テレビで披露する漫才やコントのセリフすら問題視される時代に突入したことに危機感を覚えているようだ。

画像:株式会社J-WAVE プレスリリースより(PRTIMES)
今後、テレビでネタを披露する際には、セリフや表現を慎重に制作する必要があるだろう。エバースは今回の「寿司漫才」を定番ネタにしているが、テレビでは披露しづらくなっただろう。
また、エバース以外の漫才師でも、無理やり差別だとツッコミを入れられるネタを持つコンビは数多くいる。それらのネタは、セリフや演出を改良する必要性が出てくるかもしれない。
今回のような俗説を使ったネタは、エバースだけでなく他の漫才師でも今後は使いづらくなる可能性があり、注視すべきだろう。
年末には「M-1グランプリ2025」が開催され、多くの若手漫才師が予選に挑んでいる。今回のエバースの炎上がどのような影響を及ぼすか注目されるポイントと言える。
ちなみにエバースは「M-1グランプリ2024」で4位となり、今年も優勝候補の一角として注目されている。先日実施された2回戦に登場した際には、大爆笑を取っていたという情報が出ている。今回の炎上の影響はいまのところないようだが、決勝に向けて心理的に多少の負担を抱えている可能性は否めない。
大事な時期に、「M-1グランプリ2025」の優勝候補であるエバースが巻き込まれたSNSでの炎上騒動。漫才のネタにも細心の注意を払う時代に突入したのか、注目して今後の漫才師たちのネタに注目したい。
<文/ゆるま小林>
ゆるま 小林
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆