
画像:株式会社AbemaTV プレスリリースより(PRTIMES)
2023年にはケイさんが第一子を出産し、仕事と家庭のバランスを保ちながら活動していますが、相席スタートとしての人気は、現在では山添さんが主に担っていると言っても過言ではないでしょう。
相席スタートのネタにおいても、当初はケイさんの「ちょうどいい感じのブス」というキャラが際立ち、それがコンビの特徴として認識されていました。その際、山添さんはケイさんに強くツッコんだり罵倒したりせず、黒子に徹する立ち回りが印象的でした。これには、二人が先輩後輩という関係性があることや、山添さんの穏やかな性格が影響しているかもしれません。
また、京都生まれで実家は老舗の古美術商を営んでいるということから育ちの良さも感じられます。女性芸人の容姿をいじったり、他人をバカにしたりする言動は避け、自身の“クズキャラ”を自虐的に利用して笑いを取るスタイルはバラエティ番組でも使いやすい要素だと言われています。
さらに、山添さんがバラエティで重宝される理由として、「ルックスの良さ」や「雰囲気」も挙げられます。実は山添さんは身長が180cmを超え、顔立ちも整っており、スーツの着こなしは俳優と並んでも見劣りしません。このため「見た目はシュッとしているのにクズ」といった外見と中身のギャップがバラエティ番組で際立っています。

画像:KDDI株式会社 プレスリリースより(PRTIMES)
これまでにも借金やギャンブル好きの“クズキャラ”を持つ芸人は多数存在しました。現在はむしろその種のキャラが飽和状態で、例えば安田大サーカスのクロちゃん、空気階段のもぐらさん、岡野陽一さん、ザ・マミィの酒井さんなどが代表格です。
しかし、その中でも山添さんのスマートさは珍しく、視聴者に新鮮で面白く映るのかもしれません。この背景から、きれいな見た目でありながら視聴者に不快感のない「クズ芸人」というのは朝の情報番組やMC仕事の現場で大きな武器となります。
実際、コンビを組みつつ単独でMCの仕事をしている芸人を挙げてみると、このルックスの影響は非常に重要であることが分かります。例えば、極楽とんぼの加藤浩次さんやバナナマンの設楽統さんなどがそれに該当します。彼らに共通するのは、情報番組のMCとしてのスキルだけでなく、「最初は悪い人に見えたけど実はいい人」という視聴者の目線の変化です。
加藤さんはかつて“狂犬キャラ”で知られ、設楽さんも“ドSキャラ”が浸透していましたが、現在MCとして定着し、さらにその色気あるルックスから女性ファンが多い点も似ています。
売れっ子の麒麟の川島明さんはSっ気やギャンブルなどのキャラはありませんが、『アメトーーク!』(テレビ朝日)の企画では「運動神経悪い芸人」や「学生時代イケてないグループに属していた芸人」などイケてないキャラが先行していました。しかし大喜利やコメント力などの実力が認められ、同時に「実はイケメン」とルックスも女性視聴者が多い情報番組において不可欠な要素で現在も需要が高いのでしょう。
加藤さん、設楽さん、川島さんに共通して言えるのは、最初は相方のほうが目立っていてどちらかというと“じゃない方”として認知されていたものの、トークや大喜利の場数を重ねることで単独MCをこなしていったという実力派であることです。山添さんはまさにこれらのMC芸人たちの系譜を辿っており、今後ますますMCとして活躍する機会が増えていくと予想されます。
今年4月に公開された映画『パリピ孔明 THE MOVIE』では、昭和感のあるテレビプロデューサー役で映画初出演も果たし、同作のイベントでもMCを務めていた山添さん。今後はそのルックスを活かして俳優業にも活躍を広げていくかもしれません。
<文/エタノール純子>
エタノール純子
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中