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「演じられる年齢になるまで待って」大ヒット作監督に直談判していた45歳俳優。最新ドラマにみるベテランの成熟した余裕とは

 2008年放送の大ヒットドラマ『ROOKIES』(TBS系)は、平成ドラマの代表的作品である。原作を愛読していた佐藤隆太にとって連ドラ初主演作。あの熱血キャラが佐藤隆太の代名詞といってもいい。
(画像:『新東京水上警察』フジテレビ公式サイトより)

(画像:『新東京水上警察』フジテレビ公式サイトより)

 最新主演ドラマ『新東京水上警察』(フジテレビ系、毎週火曜よる10時放送)の佐藤は、わかりやすい熱血キャラではないが、熱心キャラの魅力がある。本作は佐藤にとって事務所独立後初の連ドラ主演作でもある。  ゆるやかなキャラ変化から佐藤隆太が醸す「成熟」とは? 男性俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が解説する。

熱血キャラから“熱心キャラ”へ

 佐藤隆太といえば、やっぱり『ROOKIES』を代表作として思い浮かべる人が多いと思う。平成ドラマを代表する熱血キャラについては後述するとして、ここはひとまず最新作『新東京水上警察』の話題を。  本作の佐藤は、熱血キャラから翻り、“熱心キャラ”へ移行したような印象がある。第1話冒頭場面を見てみよう。湾岸署内の課から署に独立した東京水上警察署の発足式が行われていた。署長の玉虫肇(椎名桔平)が熱を込めてスピーチする中、前方列に二つの空席が目立つ。  本来ならその空席に座っていなければならい二人の刑事は現場にいた。佐藤演じる主人公・碇拓真が、もう少しで敵を追い詰められるというところで邪魔が入る。碇を連れ戻しにきた部下の日下部峻(加藤シゲアキ)だったのだが、初対面の碇は敵の手下と勘違いする。

部下を海中に投げ込む性格

 勘違いしてどうしたか。「公務執行妨害」だとして日下部に手錠をかけ、さらに海の中に投げ込む。ざば~んと大胆。熱血刑事の突飛な行動なら理解できるのだが、碇は決してわかりやすく熱血キャラというわけでもない。  どちらかというとテンションは低めで皮肉屋。敵の手下と勘違いした日下部に謝ろうともせず、マイペースにタバコを咥える。相手の刑事を品定めする分析能力は長けていて、日下部の経歴を確認済みの碇がこう言う。「刑事は常に冷静でいろって」。 「冷静」という客観的評価が碇の性格にもあてはまるかというと全然そうじゃない。部下を海中に投げ込む人である。熱血であるわけでも冷静であるわけでもない。でも仕事熱心だということだけは確かだ。
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