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「日本に埋もれた労働力」は15兆円分 育児で9年間のブランク、自信を失った女性が在宅ワークで笑顔を取り戻すまで

「人の役に立ちたい」焦りと不安が募る日々

 それでも「息子が小学生になったら働けるかもしれない」と希望を持っていた枋谷さん。しかし、低学年のうちは授業が早く終わるため、やはり社会復帰は困難でした。  もともとは保育士志望だったという枋谷さんは、学生の頃から障害のある子どもたちに関わるボランティアをするなど、「人の役に立ちたい」という思いが強くありました。しかし、働きたいのに働けない日々が続くことで、自己肯定感が少しずつ失われていったといいます。 「家事や育児も立派な仕事だと思います。でも、周りを見ると産後1年以内に復職している方が多く、自分だけ取り残されている気がしていました。社会とのつながりが途切れた状況が何年も続くことで、不安や焦りがどんどん大きくなっていきました」  さらに、収入面での不安もありました。 「息子は小学校に上がっても、しばらくは療育施設に通う必要がありました。でも、小学生になると行政の補助が受けられなくなり、1回通うだけで1万円ほどかかるように。そんなときは、『私が働けていたら家計の助けになったのに』と自分を責めるようになりました。子どもに不便な思いをさせたくなかったので、自分の身の回りのことで節約するようにしていました」

フルリモートで叶う社会復帰

仕事中のようす

仕事中のようす

 転機が訪れたのは、息子さんが小学3年生になったころのこと。長年の友人から「fondeskで働いているんだけど、一緒にやってみない?」と声をかけられたのがきっかけでした。  子どもが小学校から帰ってくる午前中だけ働くなど、1日3時間から業務に取り組めること。また、完全フルリモートで自宅から稼働できることや、業務マニュアルがしっかり整っていることも、復職への背中を押してくれたといいます。 「9年間のブランクがあったので不安もありましたが、分からないことはチャットで質問するとサポートチームからすぐに返事をもらえるので安心でした」  一般的に、電話オペレーターの仕事の募集は、架電(電話をかける)業務が多いなかで、fondeskは受電(電話を受ける)業務のみという点も始めやすかったポイントでした。
「fondesk」の受電画面(提供:株式会社うるる)

「fondesk」の受電画面(提供:株式会社うるる)

 報酬は業務量に応じて支払われます。また、担当企業は固定ではないため、柔軟に稼働スケジュールを組むことが可能です。現在の枋谷さんの稼働スケジュールは、火曜から金曜の9~18時(途中2時間の休憩あり)。ひと月あたりの報酬は16~17万円ほどになるといいます。 「通勤がないのが本当に助かります。フルリモートなので、休憩時間に洗濯など家事もできるのが嬉しいですね」  用事があるときは柔軟に休みを取ることができ、通院や子どもの学校行事に合わせたりすることも可能。稼働スケジュールは後から変更することもできます。 「来年は住んでいるマンションの大規模改修工事が夕方まであるので、騒音がなくなる夕方の時間帯のみでの稼働スケジュールを組んでもらう予定です」
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毎日いきいきと過ごせるのは働けるようになったから
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