念願の社会復帰を果たし、「毎日いきいきと働けている」と話す枋谷さん。家族もそんな姿を喜んでいるそうです。
「夫は、私が働けず悶々としていた気持ちを理解してくれていました。働き始めてからは表情が明るくなり、いい仕事が見つかってよかったねと言ってくれています。私が稼働する日は、夫が早く帰って夕食を作ってくれたりと協力してくれます。息子も私の仕事を誇りに思ってくれているようで、私が小学校で読み聞かせのボランティアをすると、『うちのママは電話のお仕事をしているから、お話が上手なんだ』と言ってくれます」
収入面の不安も解消され、自分のためにお金を使えるようになったことも大きな変化です。
「仕事をしていないときは、どうしても節約優先で友人と飲みに行くのをためらっていました。でも今は月に1回、友人と集まって『今月もお疲れさま!』と乾杯する時間が、本当に幸せです。今の環境には心から感謝しています」
プライベートとのバランスを取りながら“長く”働きたい
これからの働き方については、枋谷さんはこんな目標を持っているそうです。
「これからは、電話応対技能検定の資格取得を目指しつつ、オペレーターとしてスキルアップしていきたいです。年齢を重ねると健康面の不安も出てくるので、早めに病院に行ったり、自分の体も大切にしながら、仕事とプライベートのバランスを取りながら長く働いていきたいですね」
テクノロジーの活用が進めば、家庭の事情で働くことをあきらめてきた人たちにも、新たな選択肢が生まれます。
個人の幸せと社会の成長を両立させる仕組みづくりが、今まさに問われているのかもしれません。
<取材・文/都田ミツコ>
都田ミツコ
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。