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「私の書いた中ではNo.1当て書き」Snow Man岩本照・主演作の脚本家が明かす“ドラマ誕生秘話”

「主演・岩本照がボディガード」というアイデアで動き出した企画

――複合型ドラマの中でダイナミックに躍動する屈強なボディガード・北沢辰之助役を演じる岩本照さんは、朴訥とした無骨な佇まいの中にふっと人間味を感じさせます。この主人公は岩本さんにしか演じられないという説得力もあります。 金子:かなり前からSnow Manさんとご一緒できるオリジナル企画を探していました。何度も企画のやり取りをしていく中で「岩本さんでボディガード」というアイデアが出てきました。これは岩本さんにしかできない役だなと企画のピースがハマり、実現に向けて一気に走り出した経緯があります。 それと同時に岩本さんについて研究を始めました。彼の何が魅力なのか、ファンの方は彼のどういうところが好きなのか。参考映像としてこれまでの出演作だけではなく、Snow ManのYouTubeチャンネル(以下、すのちゅーぶ)などの動画はすべて拝見しました。雑誌インタビューもひたすら読み込み、好きな季節などに答える百問百答みたいなものもすべてチェックして(笑)。 ――すのちゅーぶの動画では具体的にどんなところに注目しましたか? 金子:一般的に岩本さんは『SASUKE』(TBS系)に出演した時の真摯な佇まいやSnow Manのリーダーとしての『漢』みたいなイメージが強いと思いますが、動画などを拝見すると、たとえば、ある瞬間に一人で拗ねているような表情、スンと感情を失ったような顔、急にニコッとする時の普段とのギャップ。かと思いきや、ふっと一人で何かを考え込んでいる周囲との距離感など。そういう細かな仕草を研究しました。 ――岩本さん本人はチョコとタピオカ好きの甘党であることを公言していますが、そうしたパーソナリティが反映されている設定も前作第1話の導入として入りやすかったです。 金子:岩本さんの多彩な魅力を抽出してそれらをすべて辰之助に乗せようと思いました。ゼロから立ち上げた企画なので、絶対に彼にしかできない役にすれば輝くと。いつも当て書きをしているわけではありませんが、今回の企画自体が岩本さんにボディガード役をというアイデアから始まったこと、主演としての存在感などを考えて、オーダーメイドの役にした方がいいと思いました。おそらく私が書いた脚本の中ではNo.1当て書きになっていると思います。

「奇跡的に成立した黄金比ドラマ」

『恋する警護24時 season2』©テレビ朝日――当て書きに力を込めたところなど、お気に入りの場面を教えてください。 金子:前作だと辰之助の父親殺しの犯人だった漆原透吾(溝端淳平)との死闘を繰り広げた最終話の場面です。岩本さんのお芝居が沸点に到達したなと思いました。あの顔は流石に俳優仕事でないと見られない。その意味ではアイドルも複合型の職業ですよね。人としての魅力、バラエティなどで培うコメディセンス、リズム感があるアクション、そして岩本さん自身が持つリアリティ。このドラマにふさわしい主役だと思いました。そのラストを飾る漆原との対峙は、お気に入りの場面です。 season2はお父さんの事件を追うかせが一つ消えたので、あらためて素の辰之助を描き直せたと思います。より豊かになったお芝居、辰之助としての実在感はご本人の進化の賜物です。私としても等身大の辰之助の言いそうなこと、やりそうなことを掴めた感触があります。 各話にゆとりが生まれた分、色んなやり取りを入れることができました。お気に入りは選びきれませんが……第2話の笛を手にしたシーン、第3話での少女の警護、第5話の漆原との再会、第7話での里夏が連れてきたルームメイトに嫉妬した辰之助が「チベットスナギツネのように」なるところも、season1では出てこなかった新たな表情です。「Because it’s my mission.(任務なので)」と涼しげに英語で発音するところもseason2ならではの自信にあふれたお芝居だなと思いました。 ――前作第7話終盤、自分の過去が絡む任務から外された辰之助が一人、トレーニングルームで鍛えている場面に注目すると、岩本さんの(Snow Man)メンバーカラーである黄色が表現されている画面構成があるんですよね。ブラインドに黄色と青色のボーダーラインが入る窓越しのショット後、辰之助が器具を床に置くと2カット目で床と窓上部に取り付けられた照明も黄色。ワンショットの随所で表現されているなと思いました。 金子:とにかく岩本さんの魅力を際立たせることに全力で愛を注ぐ現場なので、そういう細部まで表現するアイデアは出たかもしれないですね。 私自身、前作は探り探りだったので監督をはじめとする皆さんに「一連の長台詞の中に三つの表情が欲しいです」などさまざまな要望を伝えさせてもらいました。神田エミイ亜希子プロデューサーや現場から聞こえる意見も大事にしましたし、そういうやり取りができる。ありがたいことです。岩本さんをはじめとするすべてのキャストの皆さん、各部署のお力があってこそです。 メインで演出を担当された鈴木浩介監督はアクションが得意な方ですが、どんなシーンにも柔軟に対応してくださいます。制作現場全体の体制が複合型だったことで、奇跡的に成立した黄金比ドラマになっていると思います。 【インタビュー後編】⇒「もちろんラブシーンも大事ですが…」岩本照主演ドラマの脚本家が語る“令和のラブストーリー”の難しさ <取材・文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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