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「あんたの歌を聴きに来てない」B’zライブでの“客の大熱唱”に批判殺到。なぜ日本人はコンサートで他人が歌うと不快なのか

 なぜ日本人はコンサートで他の客が歌うことを不快に感じるのでしょうか?

「勝手に歌うのはご法度」な日本のライブ空間

1219_ライブ①

B’z 画像:株式会社WDI JAPAN プレスリリースより

 B’zの東京ドーム公演で、後ろから低い声で歌い続ける観客に悩まされたというXでの投稿に多くの共感が集まっています。一緒になって歌うことは迷惑行為だという意見がほとんどでした。山下達郎も、歌う観客について「あんたの歌を聴きに来たわけじゃない」と、冗談まじりに語っていたことがありました。  日本では、ライブで勝手に歌うことはご法度であるということが、アーティストとファンの間で一致しているように思われます。一方、海外アーティストのライブ動画などを観ていると、様子が異なります。みんな気ままに楽しんでいます。  筆者が衝撃を受けたのは、ブラジルのミュージシャン、カエターノ・ヴェローゾのコンサートです。日本では芸術性の高いシンガーソングライターとして知る人ぞ知る存在なのですが、客席にはそのような堅苦しさがない。歌い出しから観客が一体となって大合唱するのです。  先日再結成して来日を果たしたイギリスのロックバンド「Oasis」なんかは、コンサート3時間あれば何万人ものファンがずっと歌っている感覚です。さながら、巨大なイギリスのパブといった趣です。  いずれにせよ、他人がどのように振る舞っているかを気にせずに、各々が勝手に楽しんでいます。これが日本のコンサートとの差といえるでしょう。

日本人にとって音楽は「参加」ではなく「鑑賞」

1219_ライブ②

画像はイメージです。

 もちろん、日本の観客が必要以上に神経質だと言いたいのではありません。今回の一件が、日本人の音楽に向き合う姿勢を如実に映し出していることが興味深いのです。日本人にとって音楽とは参加して行うものではなく、聴く、鑑賞する側面の方が強い、ということですね。  例えば、海外からの観光客は日本のジャズ喫茶に衝撃を受けると言います。こだわり抜いたオーディオシステムと向かい合って、客は一言も発せずに静かにレコードの音に浸る。姿勢を正して音楽を聴く真摯な態度が、海外の人にとってはとても新鮮なのだそうです。
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「動」よりも「静」に音楽の喜びを見出す感性
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