「今では考えられないような…」44歳・元テレ朝アナが明かす当時の働き方。高市首相の発言から考える“働くの意味”
「働いて」という言葉が投げかけた、私たちへの問い
こうして自分自身の「働く」を振り返ってみると、「働いて」という言葉が持つ意味は、その時々の自分の状態によって、大きく変動してきたことがよくわかりました。
仕事を「やりたいこと」「没頭できること」として捉えられている時期には、制約のある立場だからこそ、思いきり働けることが、むしろ贅沢に感じられる。労働は義務ではなく、ある意味で“喜び”にすら変わります。
「働く」という言葉の意味は、自分の意思で関わっているときほど、前向きなものに感じられる気がします。「やらされている感覚のある働き方」なのか、それとも「自ら選び、没頭している時間」なのかによって、大きく姿を変えるのではないでしょうか。
もちろん、誰もが自由に仕事を選べるわけではありません。環境や状況によって選択肢が限られた中で働いている方も多くいると思います。
今の私は、仕事が快楽に近い、非常に恵まれた環境になっています。さらにハワイに来てからは、子育てや家事の比重を夫が多く担ってくれるようになり、仕事と子育てのバランスに大きく悩むことなく、「働くこと」に没頭できる環境も整っています。
振り返ってみても、これまででいちばん贅沢な働き方ができていると感じています。ここでさらに結果を出せたとしたら、仕事はきっと、もっと心地よい快楽になるのだろう。そんな期待を抱いているところです。
今、みなさんにとって「働くこと」は、どのフェーズにあるでしょうか。没頭できる喜びの時間なのか、それとも負担の大きい義務なのか。私は今回、高市首相の「働いて働いて働いて」というフレーズを聞いて、そんなことを考えるいいきっかけになりました。
「ワークライフバランス」という言葉が、これほどまでに複雑に感じられるのは、それが一人ひとりの状況やフェーズや環境に強く依存する、決して一概には語れないものだからなのだと思います。
【Voicyで聴く】⇒音声版「大木優紀の旅の恥はかき捨てて」
<文/大木優紀>大木優紀
1980年生まれ。2003年にテレビ朝日に入社し、アナウンサーとして報道情報、スポーツ、バラエティーと幅広く担当。21年末に退社し、令和トラベルに転職。旅行アプリ『NEWT(ニュート)』のPRに奮闘中。2児の母


