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「存在感がエグい…」秋ドラマで視聴者を釘付けにした俳優3選。最も心を揺さぶったのは“平凡”を絶妙に演じきった45歳俳優

妻夫木聡『ザ・ロイヤルファミリー』

1223_秋ドラマ③

画像:TVerより

最後に紹介するのは、今さら紹介するのも恐縮な実力派のベテラン俳優・妻夫木聡です。この秋、日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)でもっとも心を揺さぶる名演を見せてくれました。 振り返ってみると2025年はまさに“ブッキー”イヤー。朝ドラ『あんぱん』では、漫画家・やなせたかしをモデルにした柳井嵩(北村匠海)が軍隊で出会う上官の一人・八木信之介を演じ、戦後の沖縄を舞台にした映画『宝島』では刑事・グスク役の主演を務めています。両作品とも戦争の悲惨さを役柄を通して鮮烈に描き出し、観る者に強い印象を残しました。

受けと嘘のない涙で魅せる、妻夫木の真骨頂

『ザ・ロイヤルファミリー』では、税理士の仕事を通じて馬主・山王耕造(佐藤浩市)と出会い、彼の専任秘書として競馬事業を支える栗須栄治を演じました。先述した2作品の役柄に比べると少し地味な役どころかもしれません。しかしある意味で、この役は妻夫木にしか演じられなかったのではないでしょうか?
“平凡”という演技はある意味難しいものですが、妻夫木はその“平凡”を絶妙に演じ切り、周囲の個性的なキャラクターたちを受け止めつつ物語を進めました。40代になり酸いも甘いも経験してきた彼自身の度量の深さが「受けの芝居」として秀逸に光りました。また、彼が流した解像度の高い“涙”に、もらい泣きした方も多いのではないでしょうか。 彼の“涙”は演技であることを感じさせません。山王をはじめ多くの仲間の感情を受けとってきた栗須としての“涙”。まさに本物であり、何度も心を揺さぶられました。妻夫木の受けと涙があったからこそ、壮大な“継承”の物語が成立したといっても過言ではないでしょう。俳優としての円熟味が増した妻夫木聡の真骨頂を、この秋クールは存分に堪能させてもらいました。 ========== 2025年の秋クールも、多くの俳優たちがそれぞれの“イメージ”を更新し、演技で作品の体温を上げてくれました。そんな彼らの熱演を振り返りながら、改めて作品を見返してみるのも贅沢な時間の過ごし方かもしれません。 <文/鈴木まこと> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
鈴木まこと
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201
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