次に『教場』シリーズについて触れたい。正直なところ、ストーリーに関しては個人的に疑問を感じる点もある。風間は、『教場』などでさまざまな訓練生と対峙してきた。訓練生は市民の安全を守る警察官を目指している若者ばかりではあるが、その中の少なくない訓練生が悪い意味で個性豊かだ。
『教場』では、訓練についていけなくなったことを理由に、優しく接してくれていた宮坂定(工藤阿須加)を巻き込んで、平田和道(林遣都)が硫化水素ガス自殺を図ろうとする。『教場 Reunion』では、元恋人・星谷舞美(齊藤京子)の後を追って警察官を志した石黒亘(浦上晟周)は、交番研修中に眠っている星谷の髪の匂いを嗅ぐ。一方、星谷は星谷で、成績トップの地位を脅かしそうな石黒を貶めようと画策していた。
平田らは氷山の一角であり、不適切な行動を見せ、退校した訓練生は少なくない(星谷は退校していない)。
警察を希望する人間がイカれている。ギャグのような展開が連発する『教場』シリーズではあるが、決して“ツッコミどころ満載の作品”とさせていない要因には、木村が風間公親を演じているからだろう。
ヤバい訓練生にも威厳を持っている姿には爽快感がある。ハラスメントを警戒して、問題行動を見せる部下であっても、下から目線で指導にあたっている中高年層は珍しくない。だからこそ、風間の威風堂々とした接し方にはカタルシスがある。
とはいえ、決してヤバいやつを成敗して終わり、というわけでもない。各訓練生が抱える背景を汲みながら、時に寄り添って導いていており、『教場』のミステリードラマとしてだけではなく、ヒューマンドラマとしての側面も強めている。見た目だけではなく、その言動も同世代にはキャッチーに映り、風間から目が離せなくなっているのだろう。