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連ドラ・朝ドラ・大河…って出過ぎ!? 54歳イケオジ俳優が、この数年で引っ張りだこになった理由

50代にして、時代性にピッタリ合った

 津田が俳優としても活躍するようになったのは時代の要請ともいえるだろう。  昨今、ルッキズムからの解放や多様性が重視される時代。主人公にふさわしい条件という固定観念を捨て、もっと広範囲に演者を募るようになってきている。そんなときに津田だ。彼のようなギャップこそむしろウェルカムだろう。  しかも前述したように、ことの意味を明確に伝えられるスキルの高さ。また、アニメ人気で声優の支持率は高い。テレビドラマに新たな視聴者層を呼ぶには、俳優もやっている人気アニメ声優の存在は大きい。一時期、宮野真守もよく出ていたし、最近はゲストで声優をキャスティングすることが増えている。
anan 津田健次郎

女性誌『anan』は、津田健次郎を表紙にした特別版まで出した(2023年5月29日発売、No.2399)

 そんななかで津田健次郎は、50代にしてプライムタイムのドラマで主役を張るまでになった。  ふつうは50代というとちょっと落ち着いてくる時期と思うのだが、朝ドラ、大河、日曜劇場、紅白、民放連続ドラマ初主演と、それにしたって引っ張りだこ過ぎないか。  やっぱり顔と声に力があるから、どんなに演じ分けても津田健次郎味が強いような気もするから余計に気になる。ただ彼の名誉のために書いておくと、『あんぱん』で、登場したばかりの頃、中園ミホの目に演技が止まったことによって、いったん退場したあと、再び登場することが決まったというのだ。主人公のぶを面接する表情が印象的で、中園は主人公夫婦の行き着く先を見守る役割を託したと語っている。

『ラムネモンキー』では、地味目な独身男役

『ラムネモンキー』で津田は、地元で母(高橋惠子)の介護をしながら理容室を営んでいる50代独身の人物を演じている。 中学時代は映画研究部で楽しくやっていたが、仲間のなかでひとりは大手企業の営業部長(反町隆史)、ひとりは映画監督(大森南朋)という派手なポジションについていて、それと自分の人生を比較してしまう。そんなとき37年ぶりに、映研の顧問だったマチルダ失踪事件の謎が浮上してきて……。『スタンド・バイ・ミー』的な冒険と郷愁が絡み合うドラマになりそうだ。  これまでセリフが決まるイケオジポジションだった津田が、まるで少年のような雰囲気を醸していて、派手な職業の同級生たちに対してちょっと思うところがあるナイーブな芝居をしていた。でも今後、どうなるか、ギャップの魅力という強烈な武器を発揮するときがくるかもしれない。展開の面白さに定評のある古沢良太の脚本だから期待したい。  ともあれ、津田健次郎の何がいいって、一気にたくさん出ることで飽きられないようにと歩留まりしないところである。こんなに大盤振る舞いであることにとても好感が持てる。 <文/木俣冬>
木俣冬
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami
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