
「サイドボタンを押したつもりが、応答してしまったみたいで。何か言わなくちゃと思って、とっさにスマホに耳を当てました」
すると、明日香さんが言葉を発する前に、「パパ? ひろなが熱を出したから、今日は出来るだけ早く帰ってきて」と女性の声がしたそう。
「最初は、話がよくわからずに混乱していました。その後、はっと気が付いて慌てて電話を切りましたね。そう、彼は妻子持ちだったんですよ」
混乱しながらも、とにかくここから逃げたい! と思った明日香さんは、置いたばかりの荷物を持って旅館を飛び出します。そして、走って駅まで向かったそうです。
「旅館から家までの記憶は薄らとしか覚えていません。自宅の最寄り駅に着くと、学生時代の友人が改札で待っていてくれました。助けて欲しくて、無意識に連絡していたんですよね。彼女を見たらほっとして、堪えていた涙が一気に溢れていました」
自宅に帰ると友人が暖かい飲み物を用意し、『M-1グランプリ』をつけてくれたそう。その優しさに、冷えた心も温まったといいます。
「その後、彼から連絡が来ることはありませんでした。私は普通に付き合っているつもりでいたので、ショックが大きくて……。いつか、笑って話せるようになったら、また誰かと恋愛したいな」
初めての事がたくさん詰まった3ヶ月の恋愛。少しでも早く、明日香さんがこの経験を笑い話にできることを願います。
<取材・文/maki>