杉咲さんの演技がリアルすぎて、本当に地のままで会話しているように見えるため、あくまで画面に映っているのは文菜なのに、杉咲さんの言動として捉えてしまうこともその気持ちを加速させます。
また、『おちょやん』ではヒロインを裏切り別れることになる元夫役だった成田さんが、『冬のさ春のね』では、文菜を大切にしているゆきおを演じており、杉咲さんと立場が逆になっています。
ゆきおはとにかく「優しくまっすぐ」と魅力的で、運命的な出会いから文菜と交際に発展する。そんなゆきおに少しでも感情移入してしまうと、余計に文菜が許せなくなってきます。
今作はドキュメンタリーかのように役者同士の自然な会話が繰り広げられる分、登場人物の日常を目撃した気分になります。ゆきおの知らないところで、ゆきおに満たされない文菜がサクサクと「浮気」ととれる行動をしていくので、ゆきお目線だと「え、何これ?」と感じてしまい心が持ちません。
視聴者は、杉咲さんの純朴なイメージへの期待からも裏切られ、文菜のゆきおに対する裏切り行為も見せつけられ、二重に裏切られた気持ちになってしまうのでしょう。
それでも、今作には良い点もいっぱいあります。『アンメット』にも通じる映画のような、極めてナチュラルな会話劇が繰り広げられ、長回しシーンが多用されるなど、普通のドラマとは違う独特な空気感が漂っていて、つい見いってしまう。
その中で、杉咲さんだけでなく出演者のみなさん演技力が高い。