
ヨシ子が出奔した後に、パート先で“ある事実”が発覚。まさかヨシ子に限って、と夫は半信半疑になるのですが、改めて、ヨシ子のことを何も知らないと、気づかされるのです。
世の夫はなぜ、妻を、透明人間にしてしまうのでしょうか。うちの妻に限って、という常套句は、妻の何を見てそう断言しているのでしょう。
結婚してしまえば、妻で母。結婚した女性の本当の姿は、夫にも、そして本人にもわからなくなってしまうのです。この作品でも、長年連れ添ったにもかかわらず、妻のことをまるで見えていない夫の姿があぶりだされます。そしてヨシコの心に封印されていた、ある事実と人物も、夫は知る由もないのです。
不安に駆られた夫が発見したのは、家のゴミ箱にあった一枚の紙切れ。そこには、見知らぬ男の名前と電話番号が書かれていました。